ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【8】
ー大江戸学園:林内ペンションー
悠「金はたっぷりキャッシュで払う。店を出すより儲かるぞ。」
鮒口「必要ない。俺は金に困っとらん。」
悠「億単位の金でもか。」
わはは、と鮒口はあざけるように嗤った。
鮒口「馬鹿も休み休み言え。このペンションにそんな値打ちはない。そもそも皿井が金を用意したというのも嘘だろう。」
悠「いや、金は用意してある。」
鮒口「ほう。このペンションは売らんが、ほんとうかどうか金を見せてみろ。」
悠「わかった。」
そういって悠は城に目配せした。城派事務室に入っていくと、あのドアの前に積んである書類棚を動かし始めた。
ドアの向こうには、ジュラルミン製のトランクが三つある。
葉月が目を丸くしてこっちを見た。
和斗も驚いて皿井の顔に目をやったが、表情に変化はない。間もなく書類棚をどけて、三つのトランクを引きずるようにして運んできた。
鮒口は椅子から腰を浮かせてトランクを凝視すると
鮒口「な、なんだこれは……」
悠「金だ。全部で五億円ある。」
鮒口「なにい!そんな馬鹿なっ!まさか、その金は……」
悠「お前が想像したとおりの金さ。」
鮒口「いや、そんなはずはないっ!」
鮒口はどういうわけか、テーブルに両手をついて顔を近づけた。
悠「疑うようなら、オーナーに金を見せてもらおう。」
悠がそう言うと、皿井はトランクの留め金を外して蓋を開けた。トランクの中には、平べったい段ボール箱がいくつも入っていた。皿井が段ボール箱を開けて、中身をとりだした。とたんに目を見張った。
それは風景を描いた油絵だった。
皿井「それはペンションが暇なときに描いたんです。もっと古い絵もありますけど、人に見られたら恥ずかしくて、ずっと隠してました。」
皿井が照れくさそうに言った。
葉月「でも、どうして、そんなトランクに?」
皿井「このトランクは、前からうちの倉庫にあったんです。てっきり親父のものだろうと思って、絵をしまったんですが……」
葉月「はい」
皿井「僕は若いころから画家になりたかったんです。そんな才能がないのは自分でわかったけど、あきらめきれなくて……でも、悠さんのおかげで、ようやく吹っ切れました。」
すると鮒口が怒鳴った。
鮒口「ふざけるなっ!なにが五億円だっ!!へたくそな絵なんか見せやがって、やっぱり金は用意しとらんじゃないかっ!!」
悠「金はたっぷりキャッシュで払う。店を出すより儲かるぞ。」
鮒口「必要ない。俺は金に困っとらん。」
悠「億単位の金でもか。」
わはは、と鮒口はあざけるように嗤った。
鮒口「馬鹿も休み休み言え。このペンションにそんな値打ちはない。そもそも皿井が金を用意したというのも嘘だろう。」
悠「いや、金は用意してある。」
鮒口「ほう。このペンションは売らんが、ほんとうかどうか金を見せてみろ。」
悠「わかった。」
そういって悠は城に目配せした。城派事務室に入っていくと、あのドアの前に積んである書類棚を動かし始めた。
ドアの向こうには、ジュラルミン製のトランクが三つある。
葉月が目を丸くしてこっちを見た。
和斗も驚いて皿井の顔に目をやったが、表情に変化はない。間もなく書類棚をどけて、三つのトランクを引きずるようにして運んできた。
鮒口は椅子から腰を浮かせてトランクを凝視すると
鮒口「な、なんだこれは……」
悠「金だ。全部で五億円ある。」
鮒口「なにい!そんな馬鹿なっ!まさか、その金は……」
悠「お前が想像したとおりの金さ。」
鮒口「いや、そんなはずはないっ!」
鮒口はどういうわけか、テーブルに両手をついて顔を近づけた。
悠「疑うようなら、オーナーに金を見せてもらおう。」
悠がそう言うと、皿井はトランクの留め金を外して蓋を開けた。トランクの中には、平べったい段ボール箱がいくつも入っていた。皿井が段ボール箱を開けて、中身をとりだした。とたんに目を見張った。
それは風景を描いた油絵だった。
皿井「それはペンションが暇なときに描いたんです。もっと古い絵もありますけど、人に見られたら恥ずかしくて、ずっと隠してました。」
皿井が照れくさそうに言った。
葉月「でも、どうして、そんなトランクに?」
皿井「このトランクは、前からうちの倉庫にあったんです。てっきり親父のものだろうと思って、絵をしまったんですが……」
葉月「はい」
皿井「僕は若いころから画家になりたかったんです。そんな才能がないのは自分でわかったけど、あきらめきれなくて……でも、悠さんのおかげで、ようやく吹っ切れました。」
すると鮒口が怒鳴った。
鮒口「ふざけるなっ!なにが五億円だっ!!へたくそな絵なんか見せやがって、やっぱり金は用意しとらんじゃないかっ!!」