ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

一枚作りの真っ黒な鉄板にバーナーの火がともりシュンシュンと高熱を発し始めた。
胸から上がサウナのようにカッと暑くなる。顔中から噴き出す汗がつたい落ちると一瞬で蒸発する。なんでこの炎天下に鉄板でお好み焼きなんか作ってるんだおれは。気を抜くと熱中症になりそうだ。
油をひき、小麦粉と天ぷら粉を混ぜて具がキャベツだけしかないネタをボトリとおとした。ジュッワ!!といい音。菜箸で丸く広げて豚肉を数枚乗せる。裏面があらかた焼きあがったタイミングで両手にヘラを持って一気にひっくり返した。形が崩れずに綺麗に裏返った。ちなみに家での成功率は60~70%


悠「あぢ~できたぞ」

吉音「わーい!!お好み焼きだー!!」

悠「いつの間に起きたんだ新……。」

はな「お好み焼きを焼きはじめたあたりからです」

金剛「寝てても反応するんだな」

吉音「えっへん!」

悠「褒めてねぇからな食いしん坊」

吉音「いいもんいいもん。たべれたら幸せだもん」

悠「あっそ…。」

拳二「お、いい感じだな。ほれ。」

両手いっぱいにビニール袋をさげて戻ってきた拳二はおれに缶のビールを投げてきた。
キャッチしてすぐにプルタブをあけて中身を喉の奥に流し込む。殺人的に美味い。

拳二「そばも買ってきたから焼いてくれ」

悠「あー?」

吉音「え、焼きそばもするの?やったー!!」

悠「……」

金剛「豚肉ならブロックであるし頑張れ」

悠「しゃーねーなぁー。」

拳二「よっと、どうだ?美味いかよ?」

はな「おいしいですよ」

拳二「かっかっか。やっぱ、俺ぁの目に狂いはなかったな」

はな「つまり鉄板焼きが食べたいからわざわざここまできたです?」

拳二「おうよ。」

吉音「ねぇーゆうーまだー?」

悠「もうちょいだっーの。必死に焼いてるのわかるだろ。」

吉音「はやく、はやくー♪」

悠「おのりゃー…」

朱金「おーい。悠」

悠「朱金、どした。見回りか?」

朱金「どーしたじゃねぇよ。いつから鉄板焼き屋に転職したんだよ」

悠「いや、これはなんというか一時的な借り物で……」

朱金「なんだかわかんねぇけど。オレにもちょっと焼いてくれよ」

悠「これ売り物じゃ……」

炎銃「お、なるほどこれか…おい、小鳥遊。お好み焼きと焼きそばだ」

悠「祭……っか、なるほどってなんだ?」

炎銃「あん?崇さんがいってたぞ今お前の店に行けばいいものが食えるって」

悠「なんで崇が……あっ、拳二!!」

拳二「おーい、客が集まってきてっぜ」

悠「むっ…」

はな「悠さん、これはもう売り物じゃないとはいえない雰囲気です」

悠「くっ……仕方ない。はなちゃん、どんどんキャベツとネギを刻んでくれ」

はな「がってんです!!」

悠「金剛はありったけ肉をスライス」

金剛「わかった、わかった。喰った分は働いてやる。」

拳二「かっかっか」

悠「お前もなんかしろっ!!」

吉音「おかわりー!!」

悠「お前は喰うなッ!」
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