ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【8】

ー大江戸学園:林内ペンションー

飴矢「このポテサラのジャガイモは皮つきのまま茹でて、粗熱を取ってからマヨネーズを入れたんでしょ」

和斗「よくわかりますね。ただ時間がかかりすぎました。」

悠「時間がないときはレンジで蒸せ。皮をむいたジャガイモを耐熱皿に入れてラップをかける。蒸し加減は茹でるのと同じで、竹串がすんなり入れればいい。マヨネーズと具材の比率は二対十だ。」

和斗「そんな時短や比率があるんですね。」

城「このコンソメスープなかなか美味しいですね。料理の才能があるんじゃないですか?」

城がいった。和人は照れながら礼を言った。

和斗「ところでみなさんは、今日の夕食は何がいいですか?」

葉月「うーん、今日も暑いから……辛い物がいいかな」

和斗「カレーとかですか」

葉月「うん。食べたい」

飴矢「ああ、僕もカレーがいい。でもカレーは奥が深いからね。きょうは居酒屋も営業するの?」

和斗「そのつもりです。売上あげなきゃいけないし」

飴矢「だったら酒のつまみにもなるカレーだな」

葉月「和斗くんは忙しいから、簡単に作れて失敗しないやつじゃないと……」

飴矢「しかも予算はなるべく抑えるんだろ。」

飴矢が笑って、城が悠の方をむいていった。

城「難しいですね。そんなカレーありますか?」

悠「ある。ただし時間がかかるから、早めに仕込まないと間に合わないぞ。」

和斗「かまいません。教えてください。」

和人がそう言うと、悠はうなずいた。

悠「わかった。あとでレシピを渡そう。」

城「やる気がありますね。前は、何の仕事をしてたんです?」

和斗「前というか、ずっとバイトです。」

城「ふうん、腰を落ち着けたいバイト先はなかったんですか?」

和斗「はい。バイトだと時給は安いし、人間関係の嫌な面を見てしまうので……」

城「何が嫌だったんです?」

和斗「上司は相手によってコロコロ態度を変えると、同僚も陰口や足の引っ張り合いが多くて……」

飴矢「そうそう、バイトは最底辺だから、奴隷みたいな扱いだよ。正社員もバイトの前では偉そうにしてるけど、上司の前ではみんなペコペコして機嫌をとる。」

葉月「飴矢さんはバイトしてたんですか?」

飴矢「ずいぶん昔ね。でもバカバカしくて、すぐやめた。これからの時代、僕みたいに投資で生活するのが一番だよ。誰にでもペコペコしないで済むから。」
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