ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

悠「今日はこのくらいで店閉めるか。」

はな「閉めるです？」

悠「暑いしな。茶菓子のストックもそんなに無いし。」

はな「生菓子は難しいですね……。日持ちしないから数は作りすぎちゃダメですし、少なくてもダメですし」

悠「大型冷蔵庫があれば平気なんだろうけど買う気はサラサラ無いしな。っか、減価償却するのが追い付かんだろうし……。」

はな「ですね。」

悠「ま、売り切れなんてのもよっぽどじゃないとありえないけど。」

はな「そこはもう少し商売意欲をだしてくださいです。お菓子もお茶も美味しいんですから。」

悠「嬉しいな。ありがと」

はな「え、えへへ♪」

悠「ま、ボチボチでいいんだよ。急がば回れってな」

はな「悠さんはもっと急いだ方がいい気がするです」

悠「いっひっひ。さて、片付けも済んだし。好きな菓子もって帰っちゃっていいよ。」

はな「……」

悠「どした？」

はな「いえ……このところお菓子を食べ過ぎなような気がしてです…」

悠「ほむ……いや、ふむ。けど、暑いなかこんだけ動けばカロリーガッツリ消費してるんじゃないか。けっこう汗かいてるだろうし」

はな「あ、汗くさいです？」

悠「いや、いい匂いだけど」

はな「嗅いだですか！？」

悠「冗談でございます」

はな「がるる！」

悠「まぁ、落ち着こう。」

はな「悠さんはデリカシーが無いです。」

悠「何処で売ってるのかな。」

はな「イトーヨーカドーで売ってるです。」

悠「マジか。」

はな「そんなわけ無いです。」

悠「あれ、なんか最近似たような会話したような……デジャヴかな。まぁ、いいや。それで菓子いらないのか？」

はな「……頂いていきますです」

悠「はい、どうぞ。気を付けてな」

はな「ありがとうございますです。お疲れさまです」

悠「はーい。お疲れさま～…………さて、おい新。」

吉音「むにゃむにゃ…」

悠「このくそ暑いのによく寝られるなコイツ……って、汗だくだよ…。おーい、新、あーらーたー。」

吉音「う、う～ん……はへ？」

悠「はへ？じゃねーよ。もう店じまいだぞ。」

吉音「うーーん……はぁ、もうそんな時間？」

悠「いつもよりは早いけどな。」

吉音「そうなんだ。あ、お菓子は？」

悠「あー……売り切れだ」

吉音「がーん…売り切れなんて…」

悠「売り切れで悪かったなをい。」

吉音「お腹空いたよ～」

悠「知らねぇし！？飯食って帰るか、帰って飯食えばいいだろ。」

吉音「じゃあ、ごはんいこー！」

悠「奢らんぞ」

吉音「けちー」

悠「そういうこと言うか……。もー知らん。」

吉音「あーウソウソ。悠といっしょにご飯食べたいの！」

そんなこといわれたら嬉しいじゃないか。
おれはついつい言ってしまった。

悠「……あんまり高いのは無しだからな。」

吉音「奢ってくれるの？」

悠「……あぁ。」

吉音「わーい！悠ありがとー！」

悠「だー！暑苦しいから抱きつくなっーの。」