ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【8】
ー大江戸学園:林内ペンションー
テーブルにつくなり、女性の常連客が得意げな表情でいった。
「今日、テレビのインタビュー、されたよ。」
葉月「なんのインタビューですか?」
釜石「数年前に起きた強盗事件だってさ。レポーターが来て、このへんの連中に当時のことを聞いたらしい。」
和斗「えっ。どんなことを聞かれたんですか?」
「事件の前、黒いワゴン車、草むらに止まってたよ。だから、警察が来たとき、そういったよ。」
葉月「そのワゴン車のことはニュースで知ってます。目撃者だったんですね。」
「他の人も見てるよ。」
葉月「へー」
今日、鮒口から帰る途中ですれ違った中継車は、住民のインタビューを収録するためだったんだろう。
女性常連客は皮せんべいが特に気に入ったらしく、ワオ、と声を上げた。
「これ、チチャロンみたい。なつかしいね。」
釜石「チチャロンって、なんだよ」
「ブタのかわの、フライよ」
悠「チチャロンは南米やアメリカでも人気がある。アメリカではポークラインズと呼ばれている。」
悠がそう言うと、へえー、と釜石が言った。
釜石「アメリカにもあるんですか。さすが兄貴だぜ。」
悠「勝手に兄貴と呼ぶな。」
そう言われて釜石はバツが悪そうに自分の額をペシッと叩いた。
城「あの、失礼ですがもしかして生まれは外国なんですか?」
城が女性の常連客に尋ねた。
ステラ「そうだよ。ステラ、海外で生まれたけどこっちで暮らしてる時間の方が長いよ。」
悠「どうりで少し癖はあっても日本語が上手なわけだ。」
そのとき葉月がテレビを指さして、あっ、と叫んだ。
画面に目をやると、見覚えのある道が映っている。マイクを手にした女性のレポーターが道路脇の草むらを指さして
『十年前の8月9日、口福銀行から五億円を強奪した犯人の車は、事件の翌日、この場所で発見されました。近隣住民の証言では事件の数日前から、ここに黒いワゴン車が停まっていたそうです。犯人はそのワゴン車に乗り換えて、逃走したとみられます当時を知っている近所の方に話を聞きました。』
続いてマイクを向けられたステラの顔が画面に映った。
ステラ『私、ここで見たよ、黒いワゴン車』
その映像は一瞬で消えたが、ステラは凄い私テレビでたよ、と手を叩いて喜んでいる。レポーターは続けていった。
『その後、犯人たちの足取りは不明で、奪われた五億円も発見されていません。』
テーブルにつくなり、女性の常連客が得意げな表情でいった。
「今日、テレビのインタビュー、されたよ。」
葉月「なんのインタビューですか?」
釜石「数年前に起きた強盗事件だってさ。レポーターが来て、このへんの連中に当時のことを聞いたらしい。」
和斗「えっ。どんなことを聞かれたんですか?」
「事件の前、黒いワゴン車、草むらに止まってたよ。だから、警察が来たとき、そういったよ。」
葉月「そのワゴン車のことはニュースで知ってます。目撃者だったんですね。」
「他の人も見てるよ。」
葉月「へー」
今日、鮒口から帰る途中ですれ違った中継車は、住民のインタビューを収録するためだったんだろう。
女性常連客は皮せんべいが特に気に入ったらしく、ワオ、と声を上げた。
「これ、チチャロンみたい。なつかしいね。」
釜石「チチャロンって、なんだよ」
「ブタのかわの、フライよ」
悠「チチャロンは南米やアメリカでも人気がある。アメリカではポークラインズと呼ばれている。」
悠がそう言うと、へえー、と釜石が言った。
釜石「アメリカにもあるんですか。さすが兄貴だぜ。」
悠「勝手に兄貴と呼ぶな。」
そう言われて釜石はバツが悪そうに自分の額をペシッと叩いた。
城「あの、失礼ですがもしかして生まれは外国なんですか?」
城が女性の常連客に尋ねた。
ステラ「そうだよ。ステラ、海外で生まれたけどこっちで暮らしてる時間の方が長いよ。」
悠「どうりで少し癖はあっても日本語が上手なわけだ。」
そのとき葉月がテレビを指さして、あっ、と叫んだ。
画面に目をやると、見覚えのある道が映っている。マイクを手にした女性のレポーターが道路脇の草むらを指さして
『十年前の8月9日、口福銀行から五億円を強奪した犯人の車は、事件の翌日、この場所で発見されました。近隣住民の証言では事件の数日前から、ここに黒いワゴン車が停まっていたそうです。犯人はそのワゴン車に乗り換えて、逃走したとみられます当時を知っている近所の方に話を聞きました。』
続いてマイクを向けられたステラの顔が画面に映った。
ステラ『私、ここで見たよ、黒いワゴン車』
その映像は一瞬で消えたが、ステラは凄い私テレビでたよ、と手を叩いて喜んでいる。レポーターは続けていった。
『その後、犯人たちの足取りは不明で、奪われた五億円も発見されていません。』