ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー

城「よっ……ほっ……」
ポンポン

悠「それじゃダメだ。球を打ち上げるんじゃない。」

城「え、でも空中にバウンドさせるって…」

悠「おれの方に投げてみろ」

城「は、はい。」
ポイッ

悠「……」
ポッポッポッポッ

城「…………あれ?え?」

広げた掌の上でピンポン玉が跳ねている。だが、広げている掌は微動だにしていない。つまりピンポン玉が自動でバウンドし続けているのだ。

悠「掌を動かしてないわけじゃないぞ。そう見えてるだけだ。さらに球を増やす。」
ポポッ、ポポッ、ポポッ

一つだったピンポン玉が二つ三つ四つ五つと掌の上で所狭しとバウンドする。

城「す、すごい」

悠「こっからが本番だ…。」

城「え?」

悠「むっ……。」

全てのピンポン玉が着地と同時に全て停止したと思ったら次の瞬間今までより一段高く跳ねあがった。そして五指を立てるとピンポン玉が指先の上に落ちてまたバウンスを始める。

城「ええっ!?」

悠「ここまでできるようになったら消える腕までマスターできるようになる。」

城「いや、いやいや、無理ですよ!?」

悠「無理なら諦めろ。」

城「酷っ……いや、もうちょっとその具体的なやり方とか……」

悠「始めっからコツとか聞こうとしてんじゃねぇよ。試行錯誤して自分で考えろ。」
ビッ、ビッ…
コンっ×4
城「わっ、ちょ、いた、す、すいません!」

悠「使わないピンポン玉は片付けとけよ。あと、客が来てそれやってたら今度は目玉にぶつけるからな」

城「いちいちやることがえげつない…」

「おい」

悠「へい、らっしゃい。って……寅か。」

寅「相変わらずガラガラだな。」

悠「今さっきまで満員御礼だったよ」

寅「死ね」

悠「シンプルな罵声」

城「い、いらっしゃいませ。」

寅「あ?……お前は確か……。松永の小間使い」

城「あ、いえ、そういうわけでは…」

悠「今はうちのバイト見習いだ」

寅「バイトの見習いってなんだよ」

悠「細かいことは気にすんな。何にする?」

寅「日替わり定食」

悠「既に昼は過ぎてるんだけど」

寅「できねぇのか。」

悠「別にいいよ。しばらくお待ちを」

城「あ、あのー…」

寅「なんだ」

城「闘技会での戦い凄かったです。拳は……大丈夫ですか?」

寅「……まぁまぁ、だな。」

悠「おら、くっちゃべてねぇで水の準備しろ」
ビシッ!
スコンッ!
城「ぎゃん、すいません!」
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