ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー

悠「……」

「ごめん、やっとるかのう?」

悠「暖簾出てないだろ、今は休憩中……って、光姫さんですか。どうぞどうぞ。」

光姫「カッカッ、休憩中にスマンな。」

悠「いやいや、ただ遅めの昼飯食ってただけですから。どうぞ、好きなところにかけてください。」

光姫「随分と品数が多いようじゃが、なにかあったか?」

悠「ああ、違います。試作品の消化です。」

光姫「試作品?」

悠「軽食のメニューを少し増やそうと思案してましてね。簡単な物をいくつか試しに作ってみたんです。……よかったら少しつまみます?」

光姫「良いのか?」

悠「どうぞ。マズくはないはずなんで」

光姫「では、遠慮なく。」

悠「お茶も入れますね。」

光姫「なにからなにまですまんな。」

悠「いえいえ、それで御用のほどは?」

光姫「うむ、別に腹の探り合いをするようなことでもなし、単刀直入に聞くが体調の方はどうじゃ?」

悠「至って問題なし」

光姫「ふむ……で、実際は?」

悠「さすがに右肩が完全に砕けちゃってましてね。まだ治るのに時間がかかるっぽいです。」

光姫「じゃろうな。……むっ、ということはこれは全て左手でつくったのか?」

悠「多少の不便はあるけど、今のおれなら片手でも両手分の動きができるんでね。」

光姫「ふむ、大したもんじゃな。しかし、肩だけが問題あるというわけではあるまい?」

悠「ええ、まぁ……色々と問題はあるみたいですね。内臓とか」

光姫「他人事じゃなぁ。」

悠「それでも何とか大丈夫だと柳にお墨付きは貰ってるんで……毎日1食分ぐらいの薬を飲むことと鬼状態は一切禁止されてますが」

光姫「そりゃそうじゃろ。」

悠「万が一に鬼状態が発動しないように……いや、発動させないように夜見にガッツリ新しい封禁もかけられましたしね。だから、おれは今、全力だしても60%前後、ギリギリ居合払い奈惰嶺が出せるか出せないかって具合ですね。」

光姫「そのあたりのことはワシではわからんが……とにかく体の具合は問題ないんじゃな?」

悠「ええ、自分でもおかしなぐらい快調ですね。正直、死んでもおかしくないと思ってたんですが……」

光姫「そう簡単に死ぬ男でもなかろう。否、簡単に死なれては困るんじゃが。吉音には何か言われんかったか?」

悠「ははは……泣くわ、怒るわ、でしたね。詠美さん付きで」

光姫「じゃろうな。」
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