ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

魔槍が刺さり床に落ちた悠、確実に止めを刺さんと氷室はつま先で蹴り飛ばしにかかったが間一髪、ギリギリのところで両手で地面を打ちつけて跳ねた海老のように飛び退いた。

地面に身体を打ちつけながら何とか身体を起こして立ちあがるも太ももからは冗談のように血が吹き出している。

城「足を……やられた!!」

フットワークに影響は必須!!!先ほどの場面、もし一瞬で腕を折ることができていたら…戦局は変わっていたはず……。だからこ、悠さんはリスクを承知で腕ひしぎを仕掛けたんだ……。

結果は、最悪。さらに苦しい状況に追い込まれた……。

悠「クソッ……!!」

ざまあねぇぜ!!博打に負けた…ッ!!!スピードは大幅に落ちる…補うには【鬼状態】の出力を上げるしかねえな……。

これ以上、【鬼状態】の出力を上げれば、十神の技を使う負荷はグンと上がる……。

うるさいぐらい鼓動し続けている心臓を……抑えた。

城「鬼状態を解いた!?」

どうして!!?鬼状態がなかったら氷室さんには……!!

鬼状態を解き、両膝をついた状態の悠に氷室はすぐに攻めるかと思いきや立ち止まった。

氷室「賢明ですね。鬼状態最大の欠点がそれ。血液の循環を速めるという性質上、出力に比例して出血量が増加する。これ以上、鬼状態を続けていたら、出血死は免れてなかったことでしょう。もはや、鬼状態は使えません。次はどうします?鬼状態を使わずしてどう闘います?」

悠「……」

氷室「悠さんに「信念」があることはわかります。信念なき「武」は暴力にすぎません。貴方もよく知る、桐生刹那がそうだったように。」

悠「……へっ、過大評価が過ぎるぜ。」

氷室は悠の言葉にかすかに微笑むと抜いていた両手を鞘に収め構えを取りなおす。

氷室「……信念の為に死を選びますか。ならはせめて、この私が葬って差し上げましょう。」

悠「……悪いけどよ。ちょっと血が流れ過ぎて頭廻んねぇんだわ、だからよ難しい話は仕合の後にしてくれや。」

猫科のような鋭い八重歯を見せつけて笑い膝をついたままた構えをとった。

一寸の対話は笑顔で締めくくった。そして先に動いたのは氷室薫。踏みこみ、立ちあがることすらできてない悠に抜拳を放つ。

直撃……かと思いきや悠の身体に着弾する直前に打撃が逸れた。更に二撃三撃……抜拳の速射砲を打ち放つが全ての攻撃は歪み逸れていく。

鞘香『な!!な!!!これはなんなんだァ!!?氷室選手の打撃が曲がっている!!?』

ジェリー『WHYッッッ!!?』

【小鳥遊流:秋ノ型・流刃】

側面から力を加え、打撃の軌道をずらす秋宵月流の守の型。理論上は、銃弾も防ぐことが可能である。
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