ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

松永工業控室のドアがノックされ護衛者が入ってくる。

「失礼いたします。小鳥遊様、そろそろ準備をお願いいたします。」

そういって控室を見渡すが中には松永久秀と秘書代理の串田凛、小鳥遊兜馬と秘書のミッシェル、英はじめと吉沢心美の6人が居たが闘技者の小鳥遊悠の姿は見えない。

久秀「悠なら既に入場口に向かったはずよ?」

「は?ですが……この控室から入場口は一本道、私は、入場口の方から参りましたが……」

久秀「すれ違わなかったの?」

串田「トイレに寄ってるんじゃないすか?」

英「……ふむ?もしや悠君に何かあったか?」

心美「歩くのも辛そうでしたからね……。」

「……わかりました。念のため、私共がドーム近辺の捜索を……」

話しているとドアが開いて城厘が入ってきた。

城「その必要はありません。悠さんは無事です。」

久秀「どういうことかしら?」

城「護衛の方。少しだけ待っていただけますか?時間は長くかかりませんから。」

「……承知いたしました。本部には、私から連絡しておきましょう。」

兜馬「何があった城君?」

城「はい。入場口に向かう為、部屋を出た直後、「ある人」に呼び止められまして……。決勝戦前に、悠さんと話したい、と……。」



悠の前に立つのは……氷室薫。白いワイシャツは自身と敵の血で赤く染まり右の手は黒紫に変色している。

悠「……タフだな。あんだけ派手にやり合って、もうピンピンじゃねえか。」

氷室「買い被らないでください。この私も、傷も負えば疲弊もします。いくら力をつけようとも、逃れられぬ「摂理」です。」

悠「……それで?わざわざおれを呼び出した理由は?」

氷室「……いえ、特に理由はないですよ。」

悠「……は?」

氷室「最後の最後、闘技会という一大大会で私と悠さんが決勝戦で闘う。なかなか運命的だった事とこの島に来てからちゃんと話すタイミングもありませんでしたからね。ちょっと声をかけただけですよ。」

悠「……ふっ、はははっ。マジかよ。」

氷室「はい、マジです。」


闘技場では今か今かと闘技者の登場を待ちわびて観客たちが雄叫びを上げ続けている。

鞘香『さあさあさあ!熱狂は止まることを知らず!決勝の準備は整った!!!後は、両者の入場を待つのみです!!!』

観客たちの熱気にVIPルームに集まっていた闘技者のひとり関林ジュンが叫んだ。

関林「こんな所で観てられるか!!」

根津「下に降りるべ!!」

サーパイン「シャアアアッ!!」

末吉「あっ!!?行っちゃった……せっかくVIP席を取ってもらったのに。」

窈「私も下で観戦させてもらうよ。」

末吉「ええ!?窈さんも!!?」

剛三「仕方あるまいよ金田君。」

我々闘技者の頂点が決まる一戦だ。昂ぶっているのは、みんな同じさ。
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