ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

スポットライトで照らされる氷室薫と加納アギトの間にレフリーがやって来る。

鞘香『今、田城レフリーが入場!!!準決勝第二仕合を裁きます!!!』

ジェリー『会場のVOLTAGEがもう一段UPシマシタね!!!STARTは近いデース!!!』

鞘香『さあ開戦が待ちきれない!!これが、21世紀の巌流島だッッッ!!!』

田城「……よし!始めよう!!準備はッいいんだな!!?」

氷室薫は両腕をポケット(鞘)に納め、加納アギトは縦のファイトスタイルに構える。

氷室「……愚問ですね。」

アギト「……同感だ。」

氷室「氷室薫、推して参る。」

アギト「私は、闘技仕合の王、受けてたとう。」

二人の言葉を聞いて、田城は叫びながら一気に腕を振り降ろした。

田城「始めェェアアァアアッッ!!!」

鞘香『始まった!!!』

準決勝が遂に開始された。二匹の怪物が今、雌雄を決する。

「「……」」

が、二人は動かない。構えたまま時間が停止したかのようにピクリとも動かない。

鞘香『…………ん?ジェリーさん動きがありませんね…』

ジェリー『……デスネー。』

観客席最前列で観戦している周防製鉄社長、周防みほの素人ながら達人二人の睨み合いの意味を考えていた。

みほの「(ど…どうなってるの?我慢比べ…的な感じ?)」

鞘香『さあ!仕合は既に始まっておりますが、今のところ、両選手に動く気配がありません!!し、しかしなんでしょう?膠着状態にもかかわらず、ヒリヒリとした緊張感が漂っていますッ……!』

ジェリー『モシカスルト……』

鞘香『え?』

ジェリー『両者、狙いは同じかもシレマセン。私の見立てでは、どちらもカウンターを繰り出す気デース。故に、先攻を譲り合い膠着状態になりヤガッタデース。』

小鳥遊製薬控室で左頬から顎にかけて以外の包帯が解け動けるレベルまだには回復した金剛がモニターから聞こえてくる解説とは別の見解を示してた。

金剛「……違うな。」

闘いは既に始まっている。

「先の先」とは「気の起こり」を察知し、「相手が動こうとした瞬間」を叩く技術だ。

では、「先の先」の使い手同士が相対した場合、何が起こるのか?

【見切り合い】どちらより「深く」、「気の起こり」を見切れるのか。

だが、それも終わりだ。

動くぞ。



先に動いたのは氷室薫だった。両腕をポケットに仕舞ったまま、ダンッダンッと二度地面を踏みこんで一気に間合いを詰め【抜槍】をアギトへ突き放った。もはや、腕ではない本物の槍と見紛う一撃がアギトの顔面を貫いた。

鞘香『!?』
ジェリー『!?』

しかし、貫かれたはずのアギトは氷室の側面に回りこんでおり肘の一撃か首を刎ね飛ばした。

が、アギトの肘は微動だにしない氷室をすり抜けていく。

鞘香『やっぱりそうです!!!攻撃がッッッ、すりぬけたアッ!!!』
50/100ページ
スキ