ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
けたたましい呼子の音に、眠りに落ちていた意識が呼び覚まされた。身体を起こし、外の様子を窺ってみるが、この場所からでは状況がよくわからない。
悠「なんの騒ぎだ…?」
たまに新宿側に泊まったらこの騒ぎ…。どのみち、こうも騒がしかったら寝直す気にもらないし、ちょっと見に行ってみるとするか。あくびをしながら表に出ると、ちょうど店の前を駆けていく一団があった。その中に見覚えのある顔を見かけて、とっさに呼び掛ける。
悠「真留!」
真留「小鳥遊さん?」
足を止めた真留がきょろきょろと辺りを見回す。そしてここが小鳥遊堂の前だということに気づいたのだろう。納得したようにおれへと向き直った。
悠「なにかあったのか?」
真留「猫目が出たんです」
悠「猫目が?」
真留「私たちは見廻りに出てたんですけど、屋敷で待ち構えてる本隊の方から呼子が聞こえてきたので…」
悠「だから急いで戻ってるわけか」
真留「はい。それじゃ」
真留は律儀に頭を下げてから、呼子が聞こえてくる方向へと走り出した。その背中を見送りながら、おれはなんとなく独りごちる。
悠「怪盗猫目か」
噂には聞いたが、実物にはお目にかかったことがない。……せっかくだし、見に行ってみるか。まぁ、姿を見られるとは限らないけど、捕り物自体も気になるしな。もしかしたら、寅の奴が居るかもしれないし。
~移動中~
呼子のおかげで、目的の屋敷をすぐに見つけることができた。十手などの得物を構え、屋敷を取り囲む同心や岡っ引たち。その周りには、騒ぎを聞き付けた野次馬たちも集まってきているようだ。
吉音「おーい、悠ー!」
悠「新?」
野次馬たちの中から、吉音が手を振りながら姿を現す。
悠「なんだ、お前も来てたのか」
吉音「そりゃあこの騒ぎだもん。気になるのは当然でしょ?」
悠「まぁな。っで、猫目はどうなったんだ?」
吉音「わかんない」
悠「わかんないって…」
吉音「んー、だって、ここからじゃ中の様子なんてわかんないもん」
吉音はそういいながら、背伸びをして屋敷の方を眺めている。
悠「確かにこの野次馬じゃあな…」
吉音「あっ。金ちゃんだ」
吉音の声につられて、その視線の先を見ると、屋敷の中から飛び出してくる朱金の姿があった。険しい顔をした朱金はこちらに気づいた様子もなく、あちこちに指示を飛ばしている。そんな朱金の元に、どこかで見たことのある男が駆けよってきた。
悠「あいつは…」
いつだったか、刀を振り回して一般性とに威張り散らしていた奴だ。もしかして猫目に狙われてる役人て、あいつだったのか…。だったら別に、盗みに入られても…。
けたたましい呼子の音に、眠りに落ちていた意識が呼び覚まされた。身体を起こし、外の様子を窺ってみるが、この場所からでは状況がよくわからない。
悠「なんの騒ぎだ…?」
たまに新宿側に泊まったらこの騒ぎ…。どのみち、こうも騒がしかったら寝直す気にもらないし、ちょっと見に行ってみるとするか。あくびをしながら表に出ると、ちょうど店の前を駆けていく一団があった。その中に見覚えのある顔を見かけて、とっさに呼び掛ける。
悠「真留!」
真留「小鳥遊さん?」
足を止めた真留がきょろきょろと辺りを見回す。そしてここが小鳥遊堂の前だということに気づいたのだろう。納得したようにおれへと向き直った。
悠「なにかあったのか?」
真留「猫目が出たんです」
悠「猫目が?」
真留「私たちは見廻りに出てたんですけど、屋敷で待ち構えてる本隊の方から呼子が聞こえてきたので…」
悠「だから急いで戻ってるわけか」
真留「はい。それじゃ」
真留は律儀に頭を下げてから、呼子が聞こえてくる方向へと走り出した。その背中を見送りながら、おれはなんとなく独りごちる。
悠「怪盗猫目か」
噂には聞いたが、実物にはお目にかかったことがない。……せっかくだし、見に行ってみるか。まぁ、姿を見られるとは限らないけど、捕り物自体も気になるしな。もしかしたら、寅の奴が居るかもしれないし。
~移動中~
呼子のおかげで、目的の屋敷をすぐに見つけることができた。十手などの得物を構え、屋敷を取り囲む同心や岡っ引たち。その周りには、騒ぎを聞き付けた野次馬たちも集まってきているようだ。
吉音「おーい、悠ー!」
悠「新?」
野次馬たちの中から、吉音が手を振りながら姿を現す。
悠「なんだ、お前も来てたのか」
吉音「そりゃあこの騒ぎだもん。気になるのは当然でしょ?」
悠「まぁな。っで、猫目はどうなったんだ?」
吉音「わかんない」
悠「わかんないって…」
吉音「んー、だって、ここからじゃ中の様子なんてわかんないもん」
吉音はそういいながら、背伸びをして屋敷の方を眺めている。
悠「確かにこの野次馬じゃあな…」
吉音「あっ。金ちゃんだ」
吉音の声につられて、その視線の先を見ると、屋敷の中から飛び出してくる朱金の姿があった。険しい顔をした朱金はこちらに気づいた様子もなく、あちこちに指示を飛ばしている。そんな朱金の元に、どこかで見たことのある男が駆けよってきた。
悠「あいつは…」
いつだったか、刀を振り回して一般性とに威張り散らしていた奴だ。もしかして猫目に狙われてる役人て、あいつだったのか…。だったら別に、盗みに入られても…。