ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

悠「がっ、ハァハァ……!!」

クソッ!!秋の脱力が足りなかったか!!!かなりダメージを貰っちまったぞ!!!

口から鮮血をこぼしながら悠も立ち構える。誰の目にも無事な状態ではない。だが、金剛の一撃を受けてカウンターを決めたということも事実……。

金剛は呼吸を整え終わると再び攻め手に出た。飛びこみながらの蹴り。隙も少なく距離も爪詰められる前蹴り、通常ならば弾くか受けるかどちらにしろ大きく警戒するものではない。だが、相手は天下の怪力無双。ただの前蹴りも必殺の威力となる。

悠は激痛が走る身体に鞭打って右足を大きく下げ、蹴りから距離を取るように避けた。

咄嗟の左右の足のスイッチ。右半身が、わずかに開く。十分な「開き」だった、その技を撃ち込むには。

金剛は足を振りだした足をスイングし、悠の脇腹をつま先で蹴りぬいた。

【三日月蹴り】

不壊を使った悠。肝臓破裂は免れたものの……ダメージは甚大。

悠「ギッ!!」

鞘香『ああっ!!!??膝をついた!!!!』

苦悶の表情を浮かべる悠の目に映るのは足先。顔面スレスレに重機そのものの塊が迫っている。悠は大きく横へと転げその一撃を避ける。

しかし地面に半分膝躓いた体勢では大した距離は取れない。金剛は振り上げた足を地面へと踏み下ろし、その反動を利用して膝蹴りを悠へとぶつけにかかる。

鞘香『っとおお!?また追撃イッッ!!!休む暇を与えない?』

鋭角な岩石のような膝が迫る。

悠「ッ……のぉっ!!」

【小鳥遊流:秋ノ型・力動流し】

膝先を押し、滑りずらすことに成功するも金剛の怒眼は悠をしっかりと捉えていた。その場で一回転してバックブローで悠の頭を刈にかかる。

当たれば即死。地面にへばりつくように身体を叩きつけ、頭上に巨腕が抜け終わると跳ね立ちあがった。即、金剛目掛け鉄砕を打ち込もうとしたが、ショートアッパーで拳で弾きあげられる。

単純な殴り合いには持っていけない。もはやパワーでは勝負にならないのだ。そうしている間に指向性をもった隕石のような拳が降ってくる。

悠は全身を使ってその拳の隙間隙間に潜りこんで避けた。着弾した床は煎餅菓子かクラッカーのように粉々に砕けていく。触れたものをすべて破壊する力の権化……。

死の流星群を潜り抜け、悠は拳を振るった。多変則軌道の水燕のラッシュを撃ち込み返した。

しかし……両手を八の字に構え全ての打撃を受け切った。死角に撃った攻撃までも……。つけ込める唯一の隙である死角からの攻撃が通じていない。

コイツ……片目の視野に適応しやがった!!
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