ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

控室にやってくるなり小鳥遊悠の闘技者辞退を促してきた小鳥遊兜馬に城が叫んだ。

城「悠さんを闘技者から外す!?」

兜馬「うむ。小鳥遊製薬は、小鳥遊グループであり同じ派閥(四龍)。いわば同胞であり盟友だ。柏君は私を会長に推薦することは確約済みだ。ただし、唯一彼らが出してきた条件は、「対決する場合は、金剛を擁する企業を勝ちあがらせること」つまり、小鳥遊製薬が勝つなら八百長だろうと受け入れるということだ。実に都合がいい条件だ。闘技者の交代が認められている以上、棄権するのは余りに不自然だ。私が闘技会会長になった後に疑念疑惑が残る可能性は、極力潰しておきたい。悠の消耗は、誰の目にも明らか。闘技者交代も自然な流れに見える。代わりの闘技者は、こちらで用意する。いいね、松永君?」

久秀「お断りするわ。」

松永久秀は間髪いれずに提案を断った。

兜馬「!!」

「「「……」」」

久秀「……兜馬社長、勝手が過ぎますわ。この闘いはもう、貴方だけのものじゃない。過去を乗り越えるために、命を懸けて勝負に挑んでいる人がいるの。松永工業の闘技者は、小鳥遊悠。これが久秀の決定よ。」

兜馬「……正気か?ここで意地を張ることになんの意味がある!?考え直すんだ!悠は今すぐ離島させ、最高水準の医療環境で治療させることを約束する!大会の参加料の51億も支払おう!!小鳥遊グループとの提携も準備する!!!」

久秀「ふー……ごめんなさいね兜馬社長。もう決めたことなの。というか、貴方……根本的なことを勘違いしてるわよ。」

兜馬「なに?」

久秀「いつ、この松永久秀が貴方を支持するといったのかしら?」



廊下のベンチに腰かけ金剛の話を聞いていた悠は飲み終わった缶を放り投げた。回転しながら真っすぐに飛んでいき、円形の口を開けているゴミ箱にストレートに入っていく。

それを見届けると悠は立ち上がって金剛に背を向けていった。

悠「……おれも同じだぜ。金剛。勝ちを譲る気はねぇよ。「交渉決裂」だな。おれ達は、おれ達のやり方で決着をつけようや。」

金剛「……ああ。仕方ないな。」

二匹の雄は凶悪な笑みを浮かべていた……。そして僅かな休憩時間を経て、闘技場で鞘香が叫んだ。

鞘香『大ッッッ変、長らくお待たせしました!!!これより、準決勝を開始いたしますッッッ!!!準決勝第一仕合!松永工業、小鳥遊悠VS小鳥遊製薬、金剛!共に激闘の三回戦を勝ち抜いた両雄、わずか数時間のインターバルは、気休めにもならないでしょう!だがしかし!!!疲労を!!ダメージ!!!全く感じさせない二人!!!!決勝に進出するのは、蔵王権現か!!?阿修羅か!!?今、闘いのゴングが鳴る!!』
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