ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

悠「ところで、由真は怪盗猫目に詳しいのか？」

由真「え？……なんで？」

悠「だって、猫目が狙ってるから悪党なんじゃないかとか、腐った役人よりも役に立ってるとかいってただろ？」

由真「そんなの誰でも知ってるわよ。事件の度に、猫目の活躍を書いた瓦版が出回るんだから」

悠「そーなのかー？」

真留「まあ……不本意ではありますが」

朱金「なんにせよ、オレたちが相手をするのは猫目だってことに変わりはねぇさ。ごちそうさん」

渋い顔をする真留の隣で、朱金が残りの茶を一気に飲み干して立ち上がる。

真留「それじゃいきましょうか」

朱金「やれやれ。めんどくせぇなぁ」

寅「なぁ、朱金ったか？」

朱金「おう。なんでぇ」

寅「仮に俺が猫目ってのをぶっ潰したら幾らか金は貰えんのか？」

朱金「そうさな……まぁ、謝礼っとはいえないが金一封くらいは出るかもな」

寅「そうか…。」

悠「まさか猫目を捕まえる気なのか？」

寅「リハビリにはもってこいだろ。こそ泥相手なら。」

由真「こそ泥って…」

悠「お前が捕まるんじゃないか？」

寅「あぁ？」

悠「お口チャックノリス」

寅「張り倒してぇ…。いや、けど……お前の方が捕まるだろ。どうみても不審者だし」

悠「誰が不審者じゃい！」

はな「鏡をどうぞです」

悠「ん？わっ！？不審者だ！って、なにを言わすか！」

寅「アホだな…」

悠「うっせぇ！！」

寅「それだけ騒げるなら元気なのは本当みたいだな」

悠「……」

寅「まぁいい。ここに金おいとくぞ」

はな「ありがとうございましたです」

悠「あいつ、なんであんなに金に執着してるんだ…」

朱金「ま、警備区域には入れねぇけど。じゃあな」

真留「ごちそうさまでした」

悠「まいどどうも。またご贔屓に。」

由真「仕事、がんばってね～」

悠「っか…」

由真「ん？」

悠「お前はなにしてるんだよ？」

由真「なにって、休憩っていったでしょ？」

悠「休憩するのは勝手だが、他人の店でくつろぐなよ」

由真「いいじゃん、他にお客もいないんだし」

悠「だったらなにか注文しろよ。そもそも人の茶を勝手に飲みやがって」

由真「だって誰も手ぇつけてなかったから、いいのかな～と思って」

悠「いいわけあるか！」

由真「なによ～！」



不毛な言い合いはそのまましばらく続き、由真はしぶしぶとお茶代払って帰っていった。

悠「まったく、なに考えてるのかよくわからんやつだな。由真って」

はな「悠さんの場合一生解らないかもです」

悠「え、どゆこと？」

はな「ご自分で気づきなさいです。」