ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:死の森付近ー

桐生刹那が両手を広げて歩み近づきだした。

城「ッ…」

すごいプレッシャー!!!言ってることは支離滅裂で意味不明だけど、やっぱり刹那さんの実力は本物だ。

刹那「さあ、いつでもどうぞ?」

悠「……妙な感じだ。桐生刹那(アイツ)に憎しみや恨みがさっぱりわかねぇんだ。心底哀れだぜ。なんの因果かアイツはおれとジジイ、「あの人」とやらに会ったことで人生が狂っちまった。」

城「た……確かに刹那さんの境遇には、同情すべき点もありますけど……」

悠「城、もっと遠くまで離れてろ。おれは、色んな奴に救われた。今度は、おれの番だ。」

平然と歩いてくる刹那に向かい、悠は踏みこんだ。しかし、先手を取ったのは刹那、羅刹掌の連射が来る。ギャルルルルと空気を捻じ切る打撃を反らす。

悠は既に羅刹掌の仕組みを看破している。

一打、二打と受け流し、三打目を捕えようとしたとき、ピタリと刹那の動きが止まった。

城「フェイント!?」

そう……知っている=完封できる、とは限らない。湾曲した羅刹掌が悠の左腕に直撃する。

直撃した!!これで悠さんは左腕が使えなくなった!!こ、これはヤバすぎる!!

城はそう思ったが、次の瞬間、悠は左腕を振りジャブを打った。刹那はガードしながら後ろに飛び下がる。

悠「フゥッ!」

城「え!?左腕がねじれてない!?」

刹那「ッ~~……!不愉快だよっ!!!」

歯が折れんばかりに食いしばった後、刹那は両手を捩じらせながら悠へと迫る。


羅刹掌の修行は、甕の中の水を打つ修行から始まる。昼夜問わず、ひたすら水面に掌を打ち込む。柔らかい水が、肌を裂く巌のように感じるようになるまで。気が遠くなるほどの反復の結果、ある境地に至る。

【力を捻じ込む】感覚の習得。

水の次は砂、砂の次は砂利。

これらの段階を経て、ようやく「肉」を突くに至る。「肉」に至るまで、最低でも八年かかると言われる。

わずか一年で羅刹掌を完成させた鬼才、桐生刹那の羅刹掌。

その一撃を受けて捻じれない悠の左腕。

【小鳥遊流金剛ノ型・不壊】

金剛の【筋肉反射(マッスルカウンター)】をベース、独自改良し会得した。小鳥遊流系統のひとつ・金剛ノ型。

【不壊】は全身の筋肉を引き締め、肉体を硬化させる技である。攻撃に使えるのは勿論、耐久力も飛躍的に上昇する。

硬化した筋肉が、羅刹掌の廻旋エネルギーの浸透を妨げていた。
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