ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:死の森付近ー

桐生は小さくため息をついた。

刹那「ハァ…………いや、失礼。正直、がっかりしているんだ。……あ!もちろん悠君のことじゃないよ?まさか、小鳥遊弥一が生き伸びていたなんて……」

城「???」

さっきから何を言ってるんだ刹那さんは?悠さん自身が亡くなったって言ってるのに……?

刹那「死んだと思っていた小鳥遊弥一。忌々しい呪いを君にかけたまま、生き延びていたとは予想外だった。僕はいつも考えていた。考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて……ひたすら、ひたすら、考えていたよ。どうすれば君を再び「神」にできるのか?どうすれば、僕を罰してくれるのか……?」

身体を大きく揺らし髪を振り乱しながら呟き続ける桐生の股間が盛り上がりを見せている。あまりの異質に城は後ずさった……。

城「ひっ…」

不意にビタッと動きが止まりまっすぐに悠を見つめる。

刹那「考えた結果、小鳥遊弥一を殺すことにしたんだ。」

悠「!?」
城「!?」

刹那「まぁ、僕が手を下す前に死んだみたいだけどね。……悠君。君は誤解をしている。君は騙されているんだ。君の祖父だった小鳥遊弥一こそ小鳥遊弥一を騙る悪魔だったんだ。」

城「ッ……」

い……以上だ…………そもそもの話が支離滅裂。それでも今もなお、刹那はペラペラと似たようなことを話し続けている。

悠が小声でつぶやいた。

悠「まともに取り合うな……。いっただろ、アイツは壊れてるんだよ。」

城「は、はい……。」

悠「……」

しかし、気になることが増えてきたな。おれと似た技の出どころもそうだが、あの【憑神】を使った白スーツは一体……。

刹那「失望したよ。あの人の犠牲が、まったくの無駄だったなんて……。」

悠「(あの人?)」

刹那「今度こそ息の根を止めてやる。小鳥遊弥一……。」

桐生の視線は悠ではなく城へと向けられていた。しかし、桐生自身に見えているのは「城厘」という人間ではなく、小鳥遊弥一の幻影。

その小鳥遊弥一がニィッと口を歪ませた。

『いい加減認めろよ。』

刹那「!?」

『お前のことは、ずっと見ていたぜ。お前の「本気を出した姿」ありゃいったいなんだ?俺にはまるっきり「悠のモノマネ」に見えるんだがなあ。』

刹那「……!なんだと。」

弥一はグニグニと煙のように姿を変えて耳元まで伸びてきて語る。

『おやおや、自覚がないとはますますどうしようもねぇな。お前は「神になりたい」んだろ?何が「神に殺されたい」だ、とんだペテン師だなあ』

刹那は腕を横に振り弥一の幻影をかき消した。

悠「!?」
城「??」

刹那「残念だったね、僕に揺さぶりは通用しない。……僕が神になりたい?馬鹿なことを。人が、神になれるはずがない。だよね?悠君。」
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