ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:死の森付近ー

構えをとって睨み合う男たち、城は思った。二人が知り合いだとは聞いていたけど……もしかして何か因縁がある?

悠「……正直、お前のことはほとんど覚えてねぇんだわ。ただ、それでも……因縁には蹴りをつける。これで最後だ。」

刹那「……そう願うよ、今度こそ終わらせてくれ。」

悠は決勝戦が控えている、刹那は深手を負っている、なのに本当にここで闘いが始まってしまう。

城「ちょ!ちょっと待ってください!!二人とも一回落ち着きましょう!?ね!!?」

そんな声も空しく既に刹那が動きだした。蛇がうねりながら前進すように高速で悠へと向かい詰めた。カウンターに悠の拳が撃つ。

が、着弾寸前で桐生の姿が煙のように消え、悠の背後へ回り込んだ。

【狐影流:羅刹掌】

死角からの殺気に悠は腰を捻りながら地面を蹴って飛び退く、今しがた立っていた場所に刹那の羅刹掌が突き刺さり螺旋状に地面が裂けた。

二人からそこそこ離れた所にいる城の足元まで走る衝撃に、本気で殺す気だ……と感じ取った。

悠と刹那の視線が交わる。一拍おいて、同時に動いた。

【小鳥遊流:夏ノ型・火走】

上半身を火のように揺らめかせ移動する歩法、なのだが悠の動きに刹那も並走する。

城「悠さんと同じ技!!」

距離を開けることができず悠目掛け羅刹掌が穿たれる。しかし、羅刹掌は空を切った。

【小鳥遊流:夏秋ノ型・幽歩】

瞬時に歩法を切り替え、羅刹掌を避けながら刹那の懐に踏み込むと肘を胸へと叩きこむ。

刹那「ガハッ」

カウンターの一撃に刹那は血を吐きながら大きく身体が傾く。そこにすかさず悠は追撃を入れた。

【小鳥遊流:金剛ノ型・鉄砕(蹴)】

ハイキックが頭部を狙撃するも刹那は頭を振って直撃を避けつつ、ふくらはぎを掴み、悠を投げた。

空に投げだされるも一回転して着地すると同時に地面を踏みこんで飛び出した。

【金剛・夏ノ型:瞬鉄(砕)】

超加速からの一撃が桐生を穿った、そのまま背後まで抜けていくが、それを追うように刹那も半回転して悠を正面に捉えた。

刹那「…………かわいそうに。まだ小鳥遊弥一の呪いに囚われているんだね。」

城「(ど、どういうこと!?殆どダメージが見られない。)」

少なくとも二発は打撃をもらったのに。

ま……!!まさか!!!!刹那さんは、悠さんとよく似た技を使える……「技の外し方」も知ってるってこと!?

悠「ジジイの呪い?なんの話だ?ジジイはとっくに死んでんだぜ?」

刹那「……ああ、小鳥遊弥一は死んだ。そう……確かに死んだはずなんだ。どうして奴がここに居る?」

悠「支離滅裂だな……。」
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