ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:死の森付近ー

刹那の袖から腕を伝って赤い滴がしたたり落ちる。

城「刹那さんその傷ッ!!」

刹那「僕のことは大丈夫です。紫苑さん……智子ちゃんも連れてこなきゃ……なんとか「奴」を食い止めないと……」

城「ッ……」

い、一体、刹那さんは誰と闘ってるんだ?

刹那「フゥッ……」

とっくに死んだと思っていたのに…今頃になって現れるなんて……小鳥遊弥一…あの悪魔めッッ!!

僕の目は欺けない。

あの時も…あの時もそうだ……弥一が狙っていたあの二人(雲山と理乃)、「救う者と救われる者」。悠君と僕をそうしたように、彼らの繋がりを壊そうとしたんだろう……。

部屋の隣に潜んでいたが、倒した。しかし、姿を変えどうどうと部屋の中に入ろうとした。そしてとうとう僕が邪魔になった弥一は、僕を排除しようとしてきた。どこまで酷な手を使う……。

一瞬、足に力が入らなくなりフラついたが何とか踏みとどまる。

城「あっ!刹那さんしっかりっ!!」

刹那「ハァハァ…」

二度とお前の好きにはさせない!とにかく城さんを逃さないと……。

城「刹那さん大丈夫ですか!?刹那さん!!?しっかりしてっ!!!」

刹那が振り返ると小鳥遊弥一が叫んでいるのが見えた。反射的に羅刹掌を撃った。

だが、目の前に何かが割り込み刹那の羅刹掌を薙ぎ弾いた。

刹那「!?」

悠「見つけたぜ桐生刹那。これ以上、お前の勝手にはさせねぇ。」

刹那「……君を堕落させた弥一をかばうのか?」

悠の背後から顔をのぞかせる。

城「ゆっ悠さん!!刹那さんはどうしたんです!!?さっきまで普通だったのに……」

悠「……それは違うな。おかしくなったんじゃない。アイツはとっくに壊れてんだ。恐らくずっと昔からな。」

会話を割るように羅刹掌が城に向かって放たれる。しかし、悠は即座にソレをなぎ払った。

刹那「!?」

悠「その技で回転するのは肘から先。もう見切ってんだよ。」

拳の甲が少し裂けただけで捻じれていない。刹那は髪を振り乱し、咆哮を上げた。

刹那「…………何故だ!!?なぜ君は、小鳥遊弥一(その男)をかばう!!!???」

悠「……お前の言うことは全然わからねえよ。よく聞け、弥一(ジジイ)はもういねえんだ。」

刹那「……?なんだって……?何を言ってるんだ悠君?現に小鳥遊弥一はッッ君の後ろにいるじゃないか!!?一体どうしたんだ悠君!!?」

悠「……下がってろ城。……元を正せば、アイツをこうしちまったのは、おれなのかもしれねぇ。終わらせようぜ、おれ達の因縁を。」

刹那「……わからない。君がわからないよ悠君。」
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