ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

城「「腰」ですか?」

悠「そう、「腰」だ。オッサンは、ポマード野郎(アギト)の腰を抑えてる。一見不利に見えるが悪くない体勢だぜ。」

重心が変わる=攻撃を仕掛けてきた瞬間即座に対応できる。流石あのオッサンだ、ただじゃやられねぇってか。

城「な…!なるほど!」

悠「少し膠着するかもしれねえ、ポマード野郎も迂闊には動けねぇからな。…………ただ、ひとつだけ気になってるのが……」

城「え?」

会場中の熱気が声が闘技場の二人にぶつかる膠着中の二人……。

アギト「……」

ほんの僅か、アギトの動きを初見は感じ取った。

今ッ!!

その隙を逃さない。地面を踏みしめ牙を押し倒そうとした瞬間……腹部に途轍もない衝撃が突き抜けた。

初見「ガバッッ!!??」

二度目の大衝撃……。

そ、そうか……ッ!!!この技は……ッ!!!

恵利央「やはり……」
悠「あれは……」
摩耶「そっか……」

「「「【寸勁】だ。」」」

後方に吹き飛ばされる初見、アギトは猛進する獣の如く獲物を追う。

追撃!!!……上等ッ!どんな攻撃でも捌き切ってやる……

激痛を振り払い、腕を上げ攻撃に備えた泉だったが鞭のように鋭いミドルキックが横腹を払った。その一撃でアバラ数本にひびが入る。

初見「ッッ……!!!」

なッッッ!!!なんだとオッッッ!!!コイツ、い……

瞬間、縦振りの孤月蹴りが正確に顎先を斫った。

気にいらねえ……こいつだけは、絶対…………いつかぶったぉ………………。

そこで初見泉は意識を失い地面に落ちた。

チーター服部「…………は…」

恵利央「……」

なんという男じゃ!!まさか「その境地」に到達しよるとは…!

アギト「……」

我、至れり。

レフリーのチーター服部が腕を振り降ろし叫んだ、小鳥遊兜馬が膝を着いた、片原滅堂が悍ましい笑みを浮かべた。

チーター服部「勝負ありッッ!!」

【浮雲】が、【牙】の前に散った。

鷹山「二発目の「寸勁」。あれで勝負は決まりましたね。」

王森「【発剄】は魔法ではない。いわば力の伝え方の一種。」

【寸勁】とは最小距離、最小動作で放つ打撃を指す。加納ほどの使いてならば、ほぼゼロ距離からでも高威力の寸勁を放つことができる。

本来なら一撃で相手を絶命し得る威力。おそらく無意識に技の威力を受け流した初見泉も恐るべき達人に違いない。

だが、その達人でさえあの有様だ。今や加納は、別次元の力を手に入れた。

城「初見さん…」

悠「……(思った以上に厄介だ。)」

超至近距離から遠距離まで、「全ての攻撃が必殺技級の威力」だ。どの間合いにも隙がねえ上に、どの技からも連撃に繋げてきやがる。

それに……奴には、「もう一つ」武器がある。

勝者が堂々と自らの足で選手登場口へと消えていく。

王森「ご苦労だった。準決勝まで体を休めてろ。」

今なら堂々と「この名」を口に出来る。

アギト「……あと二つ。御前に仇名すものは、全て潰す。私が【滅堂の牙】だ。」
26/100ページ
スキ