ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
朱金「一杯だけだから、な?お前の分もおごってやるから、いいだろ?」
真留「……わかりましたよ。一杯だけですからね」
朱金「よぉし。そうこなくっちゃ。ってことで悠、茶と茶菓子をふたり分頼むわ。」
寅「悠、こっちにも茶請けだ。」
悠「はいはいはいはい。」
はな「はいは一回でいいです。」
はな「お待たせしましたです。」
寅「おう。」
悠「こちらもお待たせしました。」
朱金「おう。ありがとな」
朱金は湯気の立つ湯呑みをひっつかみ、一瞬の躊躇いもなく口へと運ぶ。おれは猫舌なので、さすがに淹れ立ての茶をあんなふうには飲めない。
悠「口の中、よく火傷しないな……。」
朱金「っくぅ~。やっぱりお前の淹れてくれる茶は美味ぇよな」
悠「そりゃどうも」
朱金「でよぉ、その予告状をもらった役人てのがさ…」
真留「遠山さま!その話を続けるつもりなんですか?」
朱金「茶飲み話に丁度いいだろ?」
真留「事件を茶飲み話にしないでください!」
朱金「固いこというなって」
朱金「悠だってききたいだろ?」
悠「いや。おれは別に…」
朱金「聞きたいよな?」
悠「……ようするに、聞かせたいんだな。」
朱金「その予告状をもらった役人てのが、いけすかねぇ野郎でよ。威張り散らしてうぜぇったらありゃしねぇんだ。おまけに警備についてあれこれ口出ししてくるし、面倒くせぇのなんのって……」
由真「だったら放っとけばいいじゃん」
いつからそこに居たのか、おれの隣に腰を下ろした由真が、あきれたような顔をして話しに加わってきた。
悠「あー?由真?なんでここに……っていうか、店は?」
由真「休憩よ、休憩。そしたら珍しくアンタんトコにお客がいるみたいだったから、覗きに来てみたってわけ」
悠「珍しくて悪かったな」
由真「別に悪いなんていってないでしょ。ま、それはそうと、なんか大変そうねぇ、金さん」
朱金「ああ。だが、それも仕事だって割りきるしかあるめぇ」
由真「でも、猫目が狙ってるってことは、その役人ていうのもどうせ悪党なんじゃないの?放っとけば?」
真留「そうはいきません!人となりはどうあれ、今は泥棒に狙われている身なんですから!」
由真「泥棒泥棒って……腐った役人より、よっぽど役に立ってると思うけどな。」
由真は不服そうに呟きながら、両手で包み込むように持っていた湯呑みに口をつける。それは、おれが自分のために淹れたやつなんだが。
寅「……その役人、用心棒雇ってないのか?」
朱金「自分から金出して、雇うような奴じゃない。」
寅「ちっ」
悠「お前なぁ…せめて完治してからにしろよ。その手の仕事は」
真留「アナタは外のひとみたいですけど、学園生に親族が?」
寅「…………まぁ…そんなところだ。」
朱金「一杯だけだから、な?お前の分もおごってやるから、いいだろ?」
真留「……わかりましたよ。一杯だけですからね」
朱金「よぉし。そうこなくっちゃ。ってことで悠、茶と茶菓子をふたり分頼むわ。」
寅「悠、こっちにも茶請けだ。」
悠「はいはいはいはい。」
はな「はいは一回でいいです。」
はな「お待たせしましたです。」
寅「おう。」
悠「こちらもお待たせしました。」
朱金「おう。ありがとな」
朱金は湯気の立つ湯呑みをひっつかみ、一瞬の躊躇いもなく口へと運ぶ。おれは猫舌なので、さすがに淹れ立ての茶をあんなふうには飲めない。
悠「口の中、よく火傷しないな……。」
朱金「っくぅ~。やっぱりお前の淹れてくれる茶は美味ぇよな」
悠「そりゃどうも」
朱金「でよぉ、その予告状をもらった役人てのがさ…」
真留「遠山さま!その話を続けるつもりなんですか?」
朱金「茶飲み話に丁度いいだろ?」
真留「事件を茶飲み話にしないでください!」
朱金「固いこというなって」
朱金「悠だってききたいだろ?」
悠「いや。おれは別に…」
朱金「聞きたいよな?」
悠「……ようするに、聞かせたいんだな。」
朱金「その予告状をもらった役人てのが、いけすかねぇ野郎でよ。威張り散らしてうぜぇったらありゃしねぇんだ。おまけに警備についてあれこれ口出ししてくるし、面倒くせぇのなんのって……」
由真「だったら放っとけばいいじゃん」
いつからそこに居たのか、おれの隣に腰を下ろした由真が、あきれたような顔をして話しに加わってきた。
悠「あー?由真?なんでここに……っていうか、店は?」
由真「休憩よ、休憩。そしたら珍しくアンタんトコにお客がいるみたいだったから、覗きに来てみたってわけ」
悠「珍しくて悪かったな」
由真「別に悪いなんていってないでしょ。ま、それはそうと、なんか大変そうねぇ、金さん」
朱金「ああ。だが、それも仕事だって割りきるしかあるめぇ」
由真「でも、猫目が狙ってるってことは、その役人ていうのもどうせ悪党なんじゃないの?放っとけば?」
真留「そうはいきません!人となりはどうあれ、今は泥棒に狙われている身なんですから!」
由真「泥棒泥棒って……腐った役人より、よっぽど役に立ってると思うけどな。」
由真は不服そうに呟きながら、両手で包み込むように持っていた湯呑みに口をつける。それは、おれが自分のために淹れたやつなんだが。
寅「……その役人、用心棒雇ってないのか?」
朱金「自分から金出して、雇うような奴じゃない。」
寅「ちっ」
悠「お前なぁ…せめて完治してからにしろよ。その手の仕事は」
真留「アナタは外のひとみたいですけど、学園生に親族が?」
寅「…………まぁ…そんなところだ。」