ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

鞘香『このまま畳みかけたい初見!!!さらに追撃!!!』

アギトは上半身を下げながら蹴り仕掛けようとした。

アギト「!!」

しかし、初見はそれを予期し蹴りの間合いを潰す位置まで踏みこんできた。

さあ、どうする?

牙は即座に上半身を引き戻し右ストレートを打ち出した。

そうそう、これが欲しかったんだ。

「「「「!!!!」」」」

鞘香『ひッッッ!!!肘固めだアアアーーーッッ!!!!』

初見は牙の腕を掴み、一瞬で捩じり極めた。

もっとも肘固めに移行しやすい打撃、「対角線上のストレート」これを待っていた。

初見「フゥッフゥッ(ヒュー!怖え怖え…結構ギリギリだったぜ……)」

兜馬「良しッ!!!!」

声を出しガッツポーズをとる兜馬に対し、滅堂は静かに初見を見つめた。

滅堂「(初見泉……【浮雲】が勝利に執着したとき、これほどの強さが発揮するのか…。)」

鞘香『さあさあさあさあ!!!戦局が大きく動いた!!加納選手が絶体絶命!!!』

城「これは……「詰んだ」も同然なんじゃ……。」

このままでは、関節破壊は時間の問題。逃げようとすれば無防備なところをモロに狙われる。悠さんの「不壊」で硬化できるのは筋肉だけ。

おそらく【牙】の技も……受け流しの出来ない体勢で、硬化できない部分を攻撃されたらたとえ【牙】でもただではすまない。

だが、【滅堂の牙】は上を行く。巨躯を縮めたかと思うとそのまま半身を翻し、しゃがんだまま超至近回し蹴りで初見を強襲した。

初見は極めていた右手を離し間一髪で蹴りをガード。

アギト「ハッ!?」

悪いな加納、俺の予定通りに動いてくれて。

自由になった右手、人差し指だけを盛り上げた独特な拳のを構え、牙へと放った。

「その技」は、顔面の急所三点を連続で打ち抜く。

【初見流合気道:叢雲三連】

加納アギトの頭部が後ろに傾く……が、その顔に一切の傷は無く、初見の人差し指が歪にへし曲がっている。

兜馬「!?」
城「!?」

茂吉「(今の技は!?古流術術の「指取り」か!?)」

初見はまだ絡めている左腕も解いて後ろに飛び下がった。

鞘香『たまらず距離を取る初見選手!!!この距離は危険と判断したか。』

牙は前に踏み込んで逃がすまいと初見を追撃した。

初見「いッ!!?」

鞘香『いやッッ!!!距離を取らないッッッ!!!!!取らせないッッッ!!!』

ショートアッパーに似た鋭い打撃が初見の蟀谷を切り裂いた。更に大きな横振りの一撃が初見を穿つ。

咄嗟に初見は両腕でガードした、ぶつけられたのは拳ではない……。

鞘香『ひっっ!!!肘ィ!!?』

サーパイン「おいトラッ!!」

寅「……ああ。「ムエタイの肘」それも「倒すため」の肘技だ。」