ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
闘技場は今しがた決着のついた試合の感想や次の一大仕合について盛り上がりを見せていた。たが、その中で不穏な声も聞こえている。
「面白い闘技者が出てきたと思ったが……。」
「百目鬼は終わりだな。」
「倉吉理乃は、怖い女だ。」
「負けた闘技者は一人の例外もなく、その後行方をくらましている。」
きっと今回も……
闘技者登場口につながる廊下の一角で地面に座りこんで雲山の身体を膝に横たわらせて頭を抱きかかえる理乃が居た。
理乃「環境のせいかしらね。」
不自然な死に対する嫌悪感が、どうしても克服できないの。闘技会員である以上、割り切る必要があるとわかっているんだけど。
原因はわかっているわ。実の父親(速水勝正)が、目的の為なら殺人もいとわない人だから。
過去、闘技者になってくれた子達にも、やめてもらったわ。命を落としてほしくなかったから。
雲山「……」
理乃「だけど、貴方は違った。もしかしたら……私が枷をかけなければ貴方は……」
雲山「……理乃のせいじゃない。不殺を決めたのは、俺自身だ。」
理乃「…だけどそれは、私の為に…」
運さん「……考えが浅はかだった。不殺とは、俺の目指す境地。俺の目標だ。目標を達成する手段(実力)が、俺にはなかった。だから負けた。今の俺は、殺人拳でも活人拳でもない、中途半端なんだ。俺は、変わらなければならない。」
雲山は身体を起こし、立ちあがる。そして、未だ出血が続いている足で一歩踏み出した。
理乃「できるわ。雲山ならきっと。私にも協力できることがあったら、なんでも言ってちょうだいね。」
雲山「……」
今のままでたどり着けるのか?あの男に、俺は勝てるのか?
否っ!!!このままでは決して勝てない!!!このままでは……!!!
砕かれた拳を硬く硬く握りしめる、血がとめどなく流れだすことも顧みず……。
女は、既に悟っていた。別離の時が近いことを。
【魎皇鬼】百目鬼雲山、三回戦敗退
対戦相手側の選手登場口に退場した氷室を迎えたのは紅と崇だった。
紅「なにもたもたしてたんだよ?……もしかして百目鬼となんかあったか?」
氷室「考えすぎですよ。少々肩慣らしがひつようだっただけです。先読み……私は【無動】と呼びますが、無動を使うレベルの相手と対峙するのは久しぶりでしたからね。技がなまってないか確認したまでのことです。」
崇「ほう…?俺には稽古を着けてやってるように見えたがな。」
氷室「私は他人に稽古をつけれるほど器量はありませんよ」
崇「どの口がいってるんだか……まあいい、とにかくこれで一勝だ。だが、次の試練は今大会最大だぞ。」
闘技場は今しがた決着のついた試合の感想や次の一大仕合について盛り上がりを見せていた。たが、その中で不穏な声も聞こえている。
「面白い闘技者が出てきたと思ったが……。」
「百目鬼は終わりだな。」
「倉吉理乃は、怖い女だ。」
「負けた闘技者は一人の例外もなく、その後行方をくらましている。」
きっと今回も……
闘技者登場口につながる廊下の一角で地面に座りこんで雲山の身体を膝に横たわらせて頭を抱きかかえる理乃が居た。
理乃「環境のせいかしらね。」
不自然な死に対する嫌悪感が、どうしても克服できないの。闘技会員である以上、割り切る必要があるとわかっているんだけど。
原因はわかっているわ。実の父親(速水勝正)が、目的の為なら殺人もいとわない人だから。
過去、闘技者になってくれた子達にも、やめてもらったわ。命を落としてほしくなかったから。
雲山「……」
理乃「だけど、貴方は違った。もしかしたら……私が枷をかけなければ貴方は……」
雲山「……理乃のせいじゃない。不殺を決めたのは、俺自身だ。」
理乃「…だけどそれは、私の為に…」
運さん「……考えが浅はかだった。不殺とは、俺の目指す境地。俺の目標だ。目標を達成する手段(実力)が、俺にはなかった。だから負けた。今の俺は、殺人拳でも活人拳でもない、中途半端なんだ。俺は、変わらなければならない。」
雲山は身体を起こし、立ちあがる。そして、未だ出血が続いている足で一歩踏み出した。
理乃「できるわ。雲山ならきっと。私にも協力できることがあったら、なんでも言ってちょうだいね。」
雲山「……」
今のままでたどり着けるのか?あの男に、俺は勝てるのか?
否っ!!!このままでは決して勝てない!!!このままでは……!!!
砕かれた拳を硬く硬く握りしめる、血がとめどなく流れだすことも顧みず……。
女は、既に悟っていた。別離の時が近いことを。
【魎皇鬼】百目鬼雲山、三回戦敗退
対戦相手側の選手登場口に退場した氷室を迎えたのは紅と崇だった。
紅「なにもたもたしてたんだよ?……もしかして百目鬼となんかあったか?」
氷室「考えすぎですよ。少々肩慣らしがひつようだっただけです。先読み……私は【無動】と呼びますが、無動を使うレベルの相手と対峙するのは久しぶりでしたからね。技がなまってないか確認したまでのことです。」
崇「ほう…?俺には稽古を着けてやってるように見えたがな。」
氷室「私は他人に稽古をつけれるほど器量はありませんよ」
崇「どの口がいってるんだか……まあいい、とにかくこれで一勝だ。だが、次の試練は今大会最大だぞ。」