ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】
ー絶命闘技会ドーム:廊下ー
目元に巻いていた包帯を取っ払い、【極撃】を受けて砕けた右腕をギプスと包帯でしっかりと固定した凍夜の前に仁王立ちで東郷とまりが立ちふさがった。
凍夜の後ろには詠子が、とまりの後ろでは湯梨浜が困った顔で双方に目をやっている。
凍夜「怒らないでくださいよ。ベストを尽くしたんだ。」
とまり「……ベストを尽くした?どの口がほざきやがる……?何をさらしとんしせゃ糞ボケコラァッ!!?高い金払ってギブアップたぁ、どういう了見だ、テメェ!!!???」
もともと口が悪く沸点が低すぎる東郷だが、今はもう烈火の如く牙をむいて喉が張り裂けんばかりに怒鳴り散らした。
凍夜「ははは。アレ以上続けてもリスクしかないですって。これ以上、傷を負って本業に支障が出たら損失は莫大。それにこう契約したじゃないですか。「優勝できなかった場合、報酬は前金のみ」って。契約違反は何一つしてませんよ。それに、報酬分の働きはしたはずですよ?ガンダイとの同盟関係を結んだことで、貴女の闘技界での地位は確固たるものになったはず。誰が会長になろうが貴方たちの存在は無視できない。それなりのポストが用意されてるだろうさ。」
東郷はガンガンッと地面を踏んで叫んだ。
とまり「それはそれ!!これはこれだ!!!どう落とし前つけてくれんだコラ!!!!」
話の通じない女(ひと)だ、と思いつつ凍夜はズボンのポケットに手を突っこんだ。
凍夜「仕方ない貴女のお陰で面白い体験ができた。」
何かを取りだしてピッととまりに向かって投げ渡した。
とまり「これは…?」
凍夜「俺の直通番号です。何かあったらそこにかけてきてくださいよ。一度だけ無料で依頼をこなしてあげますから。じゃあ、楽しい仕事でしたよ。」
そういうと、東郷に背を向けて廊下を歩いていく。詠子はペコペコと二度ほど頭を下げて、その後に続いた。
残された東郷と湯梨浜。
湯梨浜「しゃ、社長。私たちもそろそろ……。」
とまり「……依頼が一回無料だ…?」
湯梨浜「……ッ。」
ブチ切れると思いきやとまりはギザ刃を剥いてニッと笑った。
とまり「ごねてみるもんだな、良いカードが手に入ったぜ。」
湯梨浜「しゃ、社長?もしかして演技だったんですか?」
とまり「んなわけあるかアホ!マジでブチ切れまくってるよ。だがなあ、人間「許す」ってのは大事なことだ。過去は水に流してやるよ。さあて……いつコイツを使うとするかねぇ?」
しばらく廊下を進んだ先で白嶺がボソッと言った。
詠子「転んでもタダじゃ済まない女(ひと)でしたね。」
凍夜「あれで済んでよかったとしておこう。」
最上階、滅堂専用のVIPルームにて会長の片原滅堂の前で二人の男が睨み合っている。滅堂の隣に立つ、直属護衛の鷹山ミノルは双雄に視線を向けた。
始まる、新旧【滅堂の牙】の闘いが……。
【五代目滅堂の牙】である加納アギトがいった。
アギト「…本気か?」
【四代目滅堂の牙】である王森正道が答える。
王森「無論。お前は危うい。圧倒的力を持つが故、追い詰められると脆い。それを露呈したのが寅との仕合だ。御前のご意向に従い、闘技者の座を賭けた試合を行う。異論はないな?」
アギト「……この私も舐められたものだ。」
新旧【牙】の闘いが始まろうとしていた頃、観客たちは、次なる仕合の開始を待ちわびている。
闘技ドームの大モニターに二人の男の写真が映し出されオッズが開催されている。
【抜拳者】氷室薫
VS
【魎皇鬼】百目鬼雲山
目元に巻いていた包帯を取っ払い、【極撃】を受けて砕けた右腕をギプスと包帯でしっかりと固定した凍夜の前に仁王立ちで東郷とまりが立ちふさがった。
凍夜の後ろには詠子が、とまりの後ろでは湯梨浜が困った顔で双方に目をやっている。
凍夜「怒らないでくださいよ。ベストを尽くしたんだ。」
とまり「……ベストを尽くした?どの口がほざきやがる……?何をさらしとんしせゃ糞ボケコラァッ!!?高い金払ってギブアップたぁ、どういう了見だ、テメェ!!!???」
もともと口が悪く沸点が低すぎる東郷だが、今はもう烈火の如く牙をむいて喉が張り裂けんばかりに怒鳴り散らした。
凍夜「ははは。アレ以上続けてもリスクしかないですって。これ以上、傷を負って本業に支障が出たら損失は莫大。それにこう契約したじゃないですか。「優勝できなかった場合、報酬は前金のみ」って。契約違反は何一つしてませんよ。それに、報酬分の働きはしたはずですよ?ガンダイとの同盟関係を結んだことで、貴女の闘技界での地位は確固たるものになったはず。誰が会長になろうが貴方たちの存在は無視できない。それなりのポストが用意されてるだろうさ。」
東郷はガンガンッと地面を踏んで叫んだ。
とまり「それはそれ!!これはこれだ!!!どう落とし前つけてくれんだコラ!!!!」
話の通じない女(ひと)だ、と思いつつ凍夜はズボンのポケットに手を突っこんだ。
凍夜「仕方ない貴女のお陰で面白い体験ができた。」
何かを取りだしてピッととまりに向かって投げ渡した。
とまり「これは…?」
凍夜「俺の直通番号です。何かあったらそこにかけてきてくださいよ。一度だけ無料で依頼をこなしてあげますから。じゃあ、楽しい仕事でしたよ。」
そういうと、東郷に背を向けて廊下を歩いていく。詠子はペコペコと二度ほど頭を下げて、その後に続いた。
残された東郷と湯梨浜。
湯梨浜「しゃ、社長。私たちもそろそろ……。」
とまり「……依頼が一回無料だ…?」
湯梨浜「……ッ。」
ブチ切れると思いきやとまりはギザ刃を剥いてニッと笑った。
とまり「ごねてみるもんだな、良いカードが手に入ったぜ。」
湯梨浜「しゃ、社長?もしかして演技だったんですか?」
とまり「んなわけあるかアホ!マジでブチ切れまくってるよ。だがなあ、人間「許す」ってのは大事なことだ。過去は水に流してやるよ。さあて……いつコイツを使うとするかねぇ?」
しばらく廊下を進んだ先で白嶺がボソッと言った。
詠子「転んでもタダじゃ済まない女(ひと)でしたね。」
凍夜「あれで済んでよかったとしておこう。」
最上階、滅堂専用のVIPルームにて会長の片原滅堂の前で二人の男が睨み合っている。滅堂の隣に立つ、直属護衛の鷹山ミノルは双雄に視線を向けた。
始まる、新旧【滅堂の牙】の闘いが……。
【五代目滅堂の牙】である加納アギトがいった。
アギト「…本気か?」
【四代目滅堂の牙】である王森正道が答える。
王森「無論。お前は危うい。圧倒的力を持つが故、追い詰められると脆い。それを露呈したのが寅との仕合だ。御前のご意向に従い、闘技者の座を賭けた試合を行う。異論はないな?」
アギト「……この私も舐められたものだ。」
新旧【牙】の闘いが始まろうとしていた頃、観客たちは、次なる仕合の開始を待ちわびている。
闘技ドームの大モニターに二人の男の写真が映し出されオッズが開催されている。
【抜拳者】氷室薫
VS
【魎皇鬼】百目鬼雲山