ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【7】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
そして開戦。一進一退。攻防が積み重ねられていく。そして……組みから打撃に切り替えた局面だった。
金剛の狙い……鼻(嗅覚)かっ!!
いいとも、くれてやるよ。
そこまで読み切ったうえで凍夜はわざと鼻先を生贄に……首という弱点(急所)への一撃を勝ち取ったのだ。
頸動脈、どんな人間も切断されたら絶命する。心臓に次ぐ弱点。凍夜は突きさしていた手刀を引き抜いた。同時に金剛の口から血が吹きだした……。
が、金剛の目が動いた。凍夜をギロッと睨みつける。
凍夜「!?」
瞬間、右拳が炸裂した。ドウッと空気が爆発したよう衝撃音、踏みこまれた地面は金剛を中心に砕け砂煙を巻きあげ、その一撃が直撃した凍夜は弾丸のように吹き飛んでいく。
金剛「フゥーー…!!」
思わず立ちあがった関林ジュンは歯をむき出して笑っていた。
関林「……ッ!!」
エンターテインメントッ!土壇場中の土壇場で…!!
【極撃】
金剛「……一瞬遅れた。」
金剛の目に映るのはレフリーの田城の存在、吹き飛んでいった凍夜が巻き上げていった砂埃、して……右半分の闇。
金剛の右目は視力を失っている。
ユリウス戦激闘の後遺症である。右構えへのスイッチは、見える左目を後ろに下げ、少しでも視野角を広げる為、組み技を狙ったのも失明の不利を補う為。
しかし、いずれも十分な成果は得られず。そこで金剛が選んだ次の一手は「先に打たせる」。最もリスクの高い心臓のみをガード、右目、首、肝臓の三つの急所をあえて狙わせカウンターで仕留める。
凍夜なら必ず急所を狙ってくると確信していた。
いずれを狙われた場合も対処できるよう覚悟を決めていたが……よりによって首か、一瞬、飛んじまった。
遥か彼方、闘技場のほぼ中心で闘っていたにもかかわらず端まで吹き飛んでいくも、衝撃は止むこと無く壁を砕きようやく停止した。
近くの観客たちは身を乗り出してへたり込んでいる凍夜を安否を確認している。
凍夜「……(やれやれ「油断大敵」は、俺の方だったか。)」
金剛が意識を失った一瞬の遅れ、かろうじて挟みこんだ右腕が、致命傷を防いでいた。しかし、ダメージは甚大。肉が裂け、歪に曲がっている。
あれは、やはり俺の変調だったかぁ。「この突き」を警戒するあまり、本能が攻撃にストップをかけた。そう考えるのが一番合理的だ。
凍夜はゆっくりと立ちあがる。全身がガクガクと震えるも一度立ちあがり切るとそのまま真っすぐに歩みだした。
金剛「……」
決められなかった。……が、右腕は潰した。攻撃力は大幅に下がったはずだ。
しかし、金剛も代償は支払っていた。右足首にビリッと痛みが走る。
右腕と引き換えに右足首が……この大小は安いか高いか……。
鞘香『さあさあ!大変な展開になってまいりました。いかがでしょう解説の関林さん。』
関林『金剛選手はここで決められなかったのが痛いですね。ただ、右腕を破壊した結果が大きいのも確かです。しかし、凍夜選手は戦場での戦いを知っている。当然、負傷した際の立ち回りも心得ているはずです。果たしてどんな手を使ってくるのか……』
そして開戦。一進一退。攻防が積み重ねられていく。そして……組みから打撃に切り替えた局面だった。
金剛の狙い……鼻(嗅覚)かっ!!
いいとも、くれてやるよ。
そこまで読み切ったうえで凍夜はわざと鼻先を生贄に……首という弱点(急所)への一撃を勝ち取ったのだ。
頸動脈、どんな人間も切断されたら絶命する。心臓に次ぐ弱点。凍夜は突きさしていた手刀を引き抜いた。同時に金剛の口から血が吹きだした……。
が、金剛の目が動いた。凍夜をギロッと睨みつける。
凍夜「!?」
瞬間、右拳が炸裂した。ドウッと空気が爆発したよう衝撃音、踏みこまれた地面は金剛を中心に砕け砂煙を巻きあげ、その一撃が直撃した凍夜は弾丸のように吹き飛んでいく。
金剛「フゥーー…!!」
思わず立ちあがった関林ジュンは歯をむき出して笑っていた。
関林「……ッ!!」
エンターテインメントッ!土壇場中の土壇場で…!!
【極撃】
金剛「……一瞬遅れた。」
金剛の目に映るのはレフリーの田城の存在、吹き飛んでいった凍夜が巻き上げていった砂埃、して……右半分の闇。
金剛の右目は視力を失っている。
ユリウス戦激闘の後遺症である。右構えへのスイッチは、見える左目を後ろに下げ、少しでも視野角を広げる為、組み技を狙ったのも失明の不利を補う為。
しかし、いずれも十分な成果は得られず。そこで金剛が選んだ次の一手は「先に打たせる」。最もリスクの高い心臓のみをガード、右目、首、肝臓の三つの急所をあえて狙わせカウンターで仕留める。
凍夜なら必ず急所を狙ってくると確信していた。
いずれを狙われた場合も対処できるよう覚悟を決めていたが……よりによって首か、一瞬、飛んじまった。
遥か彼方、闘技場のほぼ中心で闘っていたにもかかわらず端まで吹き飛んでいくも、衝撃は止むこと無く壁を砕きようやく停止した。
近くの観客たちは身を乗り出してへたり込んでいる凍夜を安否を確認している。
凍夜「……(やれやれ「油断大敵」は、俺の方だったか。)」
金剛が意識を失った一瞬の遅れ、かろうじて挟みこんだ右腕が、致命傷を防いでいた。しかし、ダメージは甚大。肉が裂け、歪に曲がっている。
あれは、やはり俺の変調だったかぁ。「この突き」を警戒するあまり、本能が攻撃にストップをかけた。そう考えるのが一番合理的だ。
凍夜はゆっくりと立ちあがる。全身がガクガクと震えるも一度立ちあがり切るとそのまま真っすぐに歩みだした。
金剛「……」
決められなかった。……が、右腕は潰した。攻撃力は大幅に下がったはずだ。
しかし、金剛も代償は支払っていた。右足首にビリッと痛みが走る。
右腕と引き換えに右足首が……この大小は安いか高いか……。
鞘香『さあさあ!大変な展開になってまいりました。いかがでしょう解説の関林さん。』
関林『金剛選手はここで決められなかったのが痛いですね。ただ、右腕を破壊した結果が大きいのも確かです。しかし、凍夜選手は戦場での戦いを知っている。当然、負傷した際の立ち回りも心得ているはずです。果たしてどんな手を使ってくるのか……』