ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー張孔堂ー

真留「……になります」

雪那「正解です銭方さん。よく勉強してますね」

真留「やった」

真留が小さくガッツポーズしながら席に着く。
あいつもここの生徒だったんだな…。
由比さんの授業はとにかく分かりやすかった。基本から順を追って説明してくれる優しい授業構成。理解できないことのある生徒には、一人、一人にあった噛み砕いた説明をしてくれる。
きっと由比さん自身、相当頭がいいんだろうな。

悠「あ……」

後ろの席で見学をしていたおれはラッキー。生徒の落とした消しゴムを拾ってやろうと屈んだときに、由比さんの下着が丸見えになったのだ。 一瞬だったが、くっきりと見えた。隙のなさそうな由比さんのパンチラはオープンな吉音や朱金の数倍の価値があると言えよう。

悠「眼福、眼福」

雪那「どうしました、小鳥遊さん?」

悠「い、いえ、なんでもありません」

雪那「??では次の問題を……徳田さん」

吉音「ふぇっ!」

名指しを受けた吉音が慌てて立ち上がる。

雪那「そうですね。「どんより」っという副詞を用いて文章を作ってください」

吉音「どんより、どんより……あっ!」

吉音の頭の上に豆電球の光が点る。大きく息を吸い、答えをいう

雪那「ちなみに、うどんよりお蕎麦が好き、なんて答えは認めませんからね」

吉音「大丈夫!あたしはラーメンの方が好きだから!」

雪那「いえ、そういう話ではなく……」

吉音「あれ?雪那さんはパスタの方が好きだった?」

悠「麺類から離れろ」

吉音「あ、そっか!もちろんあたしの一番は白いお米だよ!」

悠「いつから食事の好みの話になった!」

周りの乙級の生徒たちがクスクスと笑い声を上げている。それに比べ由比さんは困惑顔だ。っか、うすうす分かっていたとはいえ……。

悠「吉音って……ほんっとに頭悪かったんだな…」






吉音「うーーん!疲れたー!悠悠!あたしちょっとは頑張れたと思うんだけど、どうかな?」

悠「……あれでか?」

確かに、授業中に寝ていない吉音なんて初めてみた気がするけど。やっぱり年下ばかりの中では、多小なりとも負けん気がでたのか?

雪那「少しはお役に立てたようで何よりです」

悠「ご苦労様です。由比さん」

まぁ、今日一番頑張って一番疲れたのはこの人だろうな

雪那「勉強は基礎さえ出来ればあとはなんとでもなりますから、これからも頑張ってください徳田さん」

吉音「ありがとー」

雪那「その気になればいつでもまた来てください。学ぶ意思のある者に…」

悠「乙級も甲級も関係ない、ですよね?」

雪那「そういうことです」

教材を片付け、会釈して教室から出ていく。
冷たい感じがするひとかと思ったけど、子供おもいの信念の強いひとだと思った。

悠「さて、おれたちも帰るか」

吉音「おー!」
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