ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】
ー絶命闘技会ドーム:廊下ー
仕合が終わりベンチに腰かける悠の右手の折れた小指を暮石がいじっている。どす黒い紫色に変色した小指、普通ならば軽く触れられただけでも激痛ものだが、グッと包みこむように押し込まれる。
悠「ッ……」
城「ッッ~~」
悠は一瞬顔をしかめ、なぜかそれ以上に傍で見ている城が痛そうに顔を歪めた。
暮石「…はい、応急処置完了ッス。どうッスか?大分、痛みはマシになったはずッス。」
【摩耶の寝技の師】暮石光世が具合を聞いた。悠はグーパーグーパーと何度か開いて閉じてを繰り返していった。
悠「……すげぇなアンタこれならすぐにでも闘えそうだ。」
暮石「……」
…すげぇのはアンタッスよ、折れた指を平然と動かしている。
それはつまり虫様筋→深指屈筋→浅指屈筋→指伸筋と指を動かす筋肉をコントロールしているということ。
器用なことするッスね~……。
【小鳥遊流:金剛ノ型極・骨包】
城「……ありがとうございます。暮石さん。敵だった我々にこんな……」
暮石「なんのなんのッス。そこはほら、ね?仕合が終わったらノーサイドってことッス。むしろ、摩耶と最後まで撃ち合ってくれたお礼ッスよ。」
西品治警備保障控室に運ばれた摩耶は穴があいて失血していたふくらはぎの治療、そして肩と右手首をハメ直し冷やしている状態で壁に凭れうなだれていた。
【皇帝】アダム・ダッドリー、【格闘王】大久保直也、【大輪開花】桜花鈴猫の三人が静かに見守り、摩耶の前に立つ西品治警備保障の社長、西品治明がいった。
西品治「……なぜ、お前を代表に選んだかわかるか?」
西品治警備保障が擁する六人の闘技者、西品治六拳。なぜ、六人の中からではなく、お前が選ばれたと思う?
大久保「……「伸び代」か。」
西品治「……賭けだった。端からお前が優勝できるとは思っていなかった。だが、一級の闘技者との闘いは、確実にお前を成長させる。生き残れば、「次回」を狙える、死ねばそれまでだ。俺はそう考えていたんだ。」
アダム「っ……アンタ…!!」
大久保「しゃあない。遊びじゃないんや。」
西品治「……だが、お前は、俺の予想をはるかに上回る成長を、力を持っていた。……「優勝」を夢見てしまうほどにな。……お前を過小評価していた、同時に、自分を過大評価していたようだ。俺に出来るのはここまでだ。お前は、上を目指せ。」
摩耶「……」
摩耶は俯いたままボタボタと涙を零し唇をかみしめていた。
…終われない…終わってたまるか。
【黒天白夜】摩耶 三回戦敗退
仕合が終わりベンチに腰かける悠の右手の折れた小指を暮石がいじっている。どす黒い紫色に変色した小指、普通ならば軽く触れられただけでも激痛ものだが、グッと包みこむように押し込まれる。
悠「ッ……」
城「ッッ~~」
悠は一瞬顔をしかめ、なぜかそれ以上に傍で見ている城が痛そうに顔を歪めた。
暮石「…はい、応急処置完了ッス。どうッスか?大分、痛みはマシになったはずッス。」
【摩耶の寝技の師】暮石光世が具合を聞いた。悠はグーパーグーパーと何度か開いて閉じてを繰り返していった。
悠「……すげぇなアンタこれならすぐにでも闘えそうだ。」
暮石「……」
…すげぇのはアンタッスよ、折れた指を平然と動かしている。
それはつまり虫様筋→深指屈筋→浅指屈筋→指伸筋と指を動かす筋肉をコントロールしているということ。
器用なことするッスね~……。
【小鳥遊流:金剛ノ型極・骨包】
城「……ありがとうございます。暮石さん。敵だった我々にこんな……」
暮石「なんのなんのッス。そこはほら、ね?仕合が終わったらノーサイドってことッス。むしろ、摩耶と最後まで撃ち合ってくれたお礼ッスよ。」
西品治警備保障控室に運ばれた摩耶は穴があいて失血していたふくらはぎの治療、そして肩と右手首をハメ直し冷やしている状態で壁に凭れうなだれていた。
【皇帝】アダム・ダッドリー、【格闘王】大久保直也、【大輪開花】桜花鈴猫の三人が静かに見守り、摩耶の前に立つ西品治警備保障の社長、西品治明がいった。
西品治「……なぜ、お前を代表に選んだかわかるか?」
西品治警備保障が擁する六人の闘技者、西品治六拳。なぜ、六人の中からではなく、お前が選ばれたと思う?
大久保「……「伸び代」か。」
西品治「……賭けだった。端からお前が優勝できるとは思っていなかった。だが、一級の闘技者との闘いは、確実にお前を成長させる。生き残れば、「次回」を狙える、死ねばそれまでだ。俺はそう考えていたんだ。」
アダム「っ……アンタ…!!」
大久保「しゃあない。遊びじゃないんや。」
西品治「……だが、お前は、俺の予想をはるかに上回る成長を、力を持っていた。……「優勝」を夢見てしまうほどにな。……お前を過小評価していた、同時に、自分を過大評価していたようだ。俺に出来るのはここまでだ。お前は、上を目指せ。」
摩耶「……」
摩耶は俯いたままボタボタと涙を零し唇をかみしめていた。
…終われない…終わってたまるか。
【黒天白夜】摩耶 三回戦敗退