ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー張孔堂ー

平和「学園のみんなのお役に立つために活動しているのでござる!」

信乃「困ってる人から受けた依頼を、私たち三人が力を合わせて解決するんだ、です」

つばめ「要は何でも屋みたいなものですわ~」

悠「ほー、探偵団か。江戸川乱歩みたいじゃないか。三人ともちっこいのに偉いんだなぁ」

ちっこいのひとことは余計かとも思ったけど、三人は素直に誉められたのが嬉しいのか、頬を赤らめて微笑んでいる。

平和「えへへっ、困ったことがあったら、悠さんもえんりょーなく相談してくださいでござる!」

雪那「皆さん、席についてください」

教材を片手に持った由比さんが部屋の中へと入ってきた。周りを見てみると、だいぶ生徒の数が増えていた。どうも、少し話し込みすぎたみたいだな。

平和「お二人とも、またでござる」

信乃「勉強頑張りましょう。だぜっ!」

つばめ「ではでは~」

三人は由比さんの言葉に従ってすぐに席に着く。うん。個性的ではあるけど、三人とも人の話をちゃんと聞けるいい子達だな。

雪那「小鳥遊さん、徳田さん、ようこそ張孔堂へ」

悠「昨日の今日でさっそくなんですけど、お言葉に甘えさせてもらいました」

雪那「構いませんよ。」

悠「おれでよかったら何でも手伝いますから、忙しいようなら声をかけてください」

パッと見ただけでも生徒が結構多いことはわかる。それに対して先生は由比さんひとりだけだ。乙級の勉強くらいなら、おれにでも教えれるはずだ……たぶん。

吉音「あたしも手伝うよ!」

悠「お前は勉強だ」

吉音「ええ~!」

悠「っか、お前に塾の仕事のなにが手伝えるんだよ」

吉音「給食!」

悠「ねぇよ!」

雪那「ふふ、お気持ちはありがたいですが、手伝いならもういますから」

悠「ああ、そうなんですか」

雪那「ええ、この子がいつも手伝ってくれています。ヨリノブ」

由比さんの呼び声に合わせて一匹の剣魂が現れた。

悠「蛇……ですか?」

由比さんの脇差しから呼び出された剣魂は、どこか上品な感じがする白蛇の姿をしている 。

雪那「なかなか可愛いでしょう?」

ヨリノブ『シャー』

ヨリノブが授業の準備を始める。

悠「蛇なんて…珍しい剣魂を使うんですね」

雪那「そうですか?蛇は知性の象徴ともいわれています。そこまで変ではないでしょう。どこの国でも神格化されていますし、塾という空間において、これほど似合いの剣魂もいないと思います」

ヨリノブ『シャシャー』

雪那「さて、雑談はここまでにしましょう。二人とも席についてください」

悠「うっす。」

吉音「はーい」

由比さんが教卓に向かうのを見届け、おれと吉音も近くの席に腰を下ろす。そうして、由比さんの授業が始まった。
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