ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー張孔堂ー

平和「では悠さん新さんとお呼びしますね……でござる」

悠「ああ。でだ、平和……あぁ、信乃もなんだけど」

平和「なんでござるか?」信乃「なんですかだぜ?」

息もぴったりに二人が首を傾げる。そんな純粋な瞳で見上げられたら言いにくいんだけど……

悠「……えっと、なんなんだ、そのみょうちきりんなしゃべり方は?」

平和「な、なんのことかわかりません!……でござる」

悠「いや、無理やり語尾変えてるし。」

信乃「うう……やっぱり変、でしょうか?」

つばめ「あらあら~悠さんバッサリいきますね~」

三者三様に反応を返す三人。

悠「別に悪いっていってる訳じゃないんだけどな。ただちょっと気になったていうか」

つばめ「別にフォローとかする必要ありませんよー。姫様と天国の口調がみょうちきりんなのには、ちゃんと理由がありますの~」

平和「あ~!つばめまでみょうちきりんって言った~!」

つばめ「あらあら、口が滑ってついつい本心が」

平和「つ~ば~め~」

信乃「変……やっぱり変なんですね……」

なんとなく、三人の立ち位置が分かってきた気がする。

悠「それで?」

つばめ「えっとですね……姫様は正義の浪人に憧れているんですよ~」

悠「それでわざわざ口調を崩していると」

つばめ「天国はワイルドになりたいらしいですわ。それで口調を荒っぽくしてみたり」

悠「なるほど。憧れに少しでも近づくために口調から入ってみたけど、ちょいちょい素が出でしまってこんな感じになってるのか。」
吉音「ねぇねぇ、どうして「姫様」と「天国」なの?」

それはおれも気になっていた。

八阪平和=姫様
玖慈信乃=天国

いくら考えてもその図式になる理由が分からない。

信乃「それはだな、です」

今度はショックから立ち直った信乃が説明してくれる。口調は相変わらずおかしいけど。

信乃「姫様は大地主のご令嬢なんです。だから姫様と呼ばせていただいてるんだぜ」

納得。素の口調を聞く限り、いいとこのお嬢様って感じだしな。

吉音「じゃあじゃあ、天国ちゃんはなんで天国ちゃん?」

つばめ「それはですね、天国の口癖からきてるのですわ」

平和「天国ってば何か良いことがあるとすぐに「天国だ」っていうからね……でござる」

悠「どんな口癖だよ」

吉音「悠の「あー?」よりましだよ」

悠「あぁー?」

吉音「だけど、三人ともほんとーに仲いいよね」

悠「確かに」

ひとりに質問したら、それ以上に残りの二人が答えを返してくれる。それもものすごく楽しそうな表情と一緒にだ。

信乃「私たち幼馴染みで、小さいころからお友だちなんです」

つばめ「三人で大江戸探偵団もやってますしね~」

吉音「大江戸探偵団?」

聞きなれない単語に吉音が首を傾げる。
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