ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:VIPルームー

吉岡「失礼します小鳥遊様。松永さま達が話がしたい、と」

松永工業社長【謀反】松永久秀と城厘が中へと入る。

恵利央「……ふむ。」

水仙「じゃ、私たちは出るとするかい。」

柳「そうじゃな。」

悠「おう、世話になったな。」

悠と久秀と城を残してみな部屋を後にした。

城「……考えは変わりませんか?」

悠「……ああ。最高の医療チームのお陰で絶好調だ、これならイケる。」

城「……棄権しましょう。」

悠「……」

城「これ以上続けるのは無理ですよ。調子がいいうちに棄権して治療に専念しましょう。ほら、別に今回が最後ってわけじゃないんですし、身体を治してまた「次」の機会にってことで……ね?」

悠「……城、城厘。覚えとけ、「次」なんて言ってる奴は次が来ない。そもそも雇い主は久秀だろ。お前はどう思ってるんだ?」

久秀「久秀は当然続投するつもりよ。ただ、この子が説得するというもんだからね。」

悠「なるほど、だがそもそも、このトーナメントもおれのワガママで出場したようなもんだ、……ワガママは最後まで通さねえとな。」

城「頼みますよ……たまには、私の言うことを聞いてください……」

悠「城」

城「聞けよっ!!」

悠「……城」

城「…わかってるんですか…死んじゃうんですよ!?……悠さんとは、出会って半年足らず……長い付き合いとはいえませんよ。……けど、悠さんがいたから私は変われたんです…!悠さんは、恩人で、友人で、兄弟子で……私の目標であるんです!!……頼みます……!棄権してください……!!」

膝を着いて涙を流し懇願する城厘。悠はゆっくり立ちあがった。チチンッと大小様々なサイズの鍼が床に散らばる。

悠「……ありがとよ。」

そういうと悠は部屋をでていった。

わかっていた…自分では説得なんてできるはずもない、たとえ棄権をしたところで、悠さんは闘うことをやめないだろう……私は、見届けることしかできない……悠さんの「生き様」を……。



闘技場へと先に入場した悠と司会進行役の片原鞘香にスポットライトが当たる。

鞘香「いよいよトーナメントはクライマックス!!!本日、闘技者の頂点が決まる!!!」

マイクに向かって叫ぶ鞘香は大きな網目状に穴の開いた黒のボンテージ姿だ。

烈堂「姉ちゃん…!肌隠せって…ッ!」

三明「まあまあ若。」

悠「……」

観客席から悠に視線を向けるカルラが呟いた。

エレナ「「変わった?」どういうことカルラちゃん?」

迦楼羅「……違う。「変わった」んじゃない。まだ「変わり続けてる」。」

エレナ「え?どういうこと?よくわかんないよ。」

鞘香「お待たせしました!西品治警備保障闘技者の入場です!!」

ワァッと換気の声を上げる観客たち、入場口の柱からはボッと火柱が上がり濃厚なスモークが吹きだした。

「今回は入場も凝ってるなー。」
「もう準々決勝だからな。」

鞘香「第三回戦第一仕合、小鳥遊と相対するのはこの男。」

スモークの中から踏みだしてくる影は……小さい。しかし、その足取りには迷いがない。

「「「!?」」」

鞘香「摩耶だアアアアぁァァッ!!」

盛り上がりから一転、観客たちからは落胆の声が漏れた。

「「「エエーーっ!!?」」」

「おいおいおいおい……摩耶続投かよ。」
「大怪我してたじゃん。」
「そこは闘技者交代だろ……素人かよ西品治…」
「車いすで移動してるの見たぞ…」
「そもそも闘える状態か?」
「死ぬぞアイツ。」
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