ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:第二VIPルームー

人斬り軍司は鷹山ミノルに敗れた。自身の最大の手駒である者が斃されたことに微塵も躊躇せずに速水勝正は、その場から離れようとした。

しかし次の瞬間、身体がゆっくりと前倒れになり、気がついた時には床に押し伏せられた。

速水「!?」

何が起こったのか、流石の速水もわからなかった。自分を押さえつけている者は魏の人間でもなければ滅堂の護衛者でもない。

【アラブの旋風】ハサドだ。

ハサドは速水の腕を捻り背中に回して完全に動けないように抑え込んでいった。

ハサド「終わりだ速水勝正。爆弾は作動しない。アンタの裏切りは天狼衆に伝達済み。二回戦の間に爆弾は全て解除した。」

速水「……蕪木か。」

ハサド「そう、我が友カブラギの計画だ。今頃、人質の会員達も、解放されているはずだ。」

それを聞いた途端、速水はワナワナと震えて大声で叫んだ。

速水「おのれ片原!!!貴様、ここまで!!」

鬼頭軍司の敗北、速水勝正の捕縛によりガーディアン達は動揺と混乱でもはや機能していない。片原滅堂は抑え込まれている速水に視線を向けていった。

滅堂「ん?何か勘違いしとるようじゃが。ハサド君を雇ったのはワシじゃないぞい?」

速水「!!?」

滅堂の言葉を一瞬理解できなかった。そして、次にハサドから出た言葉に速水は目を丸くする。

ハサド「左様。我等の雇い主は、小鳥遊兜馬殿だ。」

速水「……なっ」

小鳥遊!?小鳥遊兜馬だとっ!!?

あんな若造が……小鳥遊弥一の威を借りていただけの若造が、この速水を出しぬいたというのか!?

滅堂「……主はよくやったわい、個人の力ならワシを上回るかもしれん。じゃが、その強大な力が致命的になった。隠したと侮った者たち二足をすくわれる、主らしい最後じゃった。ま、暇つぶしにはなったかの。お疲れさん速水君♪」

その言葉通り、各所でガーディアン達は鎮圧されていた。

【抜拳者】の氷室薫と【超人】紅に出くわした
一団は抉られ貫かれ、二度と闘技者としては立ち上がれなくなった。

【魎皇鬼】の百目鬼雲山と理乃のお散歩デートの邪魔をした守護者達は皆顎を砕かれ山積みにされていた。

【顔のない男】小鳥遊窈が
【吼える闘魂】サーパインが
【日本海の大入道】賀露吉成が
【美獣】桐生刹那が

廊下で…地下で…医務室で…周辺で…ありとあらゆる箇所で……ガーディアン達は闘技者たちに倒されたのだ。





そして……とある空き室では、城厘がペタンっと床にへたり込んでいた。

城「な……!な……!なんてこった……!!」

コンクリートの壁をぶち抜けて守護者の蘭城は顔面がこぶし大に陥没しピクリとも動かない。

【憑神】を使った相手を、まるで子供扱いだった……!!そ……それに……最後の技は一体!?

悠「……やべぇ、殺っちまったかもしれん。」

城「ええっ!?」

PM6:28、クーデター鎮圧。
74/100ページ
スキ