ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:第二VIPルームー

状況が一向に好転せず、むしろ悪化の一途をたどりだした速水勝正…。

速水「……」

おのれ……!!かくなる上は……ドームごと吹き飛ばしてくれるッ!!!

「速水が逃げるぞ!!!」

包囲を突破した魏の一団が背を向けた速水を捕えようとするが、最後の壁が立ちふさがった。

刀を抜き放ち歯をむき出しにして笑うのは【守護者ランキング1位】鬼頭軍司。

軍司「関係ねえよ。大将首を落とせばこっちの勝ちだ。」

「人斬り軍司!コイツが残ってたか。」

「護衛者、お前らも気をつけろ。」

「奴を知ってるのか?」

「魏の人間も四人、奴に殺られている。敵サイドじゃ一番の大物だ。」

「コイツは俺がやる!」

そう言って前に出たのは巨体の軍司に勝るとも劣らない口元に鉄のマスクをつけた片原滅堂の側近の護衛者、鷹山ミノルだ。

スーツの上着を脱ぎ、ネクタイも解き捨てた。

「鷹山さん!」

鷹山「気にいらねぇんだよ、初対面の時から。」

軍司「負け犬が吼えるんじゃねえ。【牙】になれなかった落ちこぼれが。」

両手でしっかりと刀を握り堂に入った構えで刃先を突きつける軍司、そんなものには臆せず真っ正面から大きく右腕を突きだした構えをとるミノル。

決着は、本当に一瞬だった。

先に動いたのは鷹山ミノル、突きだした右腕をさらに伸ばして突き向かっている刃を掌で受けた。そして、そのまま貫かれながら刃の中腹で手を拳に絞めた。文字通りの真剣白刃取り……。

刃を取り押さえ、鋭角に左足を振り上げ軍司の右手を蹴り上げた。その威力は一撃で五指を砕き完全に日本刀を放棄させた。

しかし、それでも鬼頭軍司は笑っていた。一瞬、左手を腰に回し次の瞬間にはミノルの横っ面をぶん殴った。その手には特殊警棒が握られており鉄の仮面が弾け飛ぶ。

鉄のマスクが外れた下には……耳元まで裂けた傷、一応縫い止めているらしいが、その縫合も引き千切れ文字通り口裂けがあらわになった。その一撃に……ミノルも鬼のような笑顔を見せて大きく振り上げた左手を軍司の画面に叩きつける。

サングラスが砕け上半身が後ろに倒れ下がるが鬼頭は左足で、ミノルの右手に突き刺さっている日本刀を蹴り上げた。刃が跳ねあがりバックリと掌を真っ二つ裂き、中指を切り落とす。

それでも尚……鷹山ミノルは留まることも動揺もない。力任せに渾身の蹴りを鬼頭の顔面にブチかました。歯が砕け散り床に倒れ伏せる。

軍司「がっ……!!?」

顔から血をまき散らしながら最後に見たものは靴の裏だった。全体重を乗せた跳び踏み蹴りが鬼頭軍司の顔へと落ちた。

グシャッ!と鈍い音を立てビクンっと一度大きく跳ねた鬼頭はそれきり動かなくなった。

ミノルはゆっくりと立ちあがると右手からの出血も止めずに軍司に向けていった。

鷹山「いい切れ味だ、刀は貰っとくぜ。後悔してるか?糞野郎。喧嘩を売る相手を間違えたな。」
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