ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:周辺ー

轟音を響かせ鎖鎌の分銅が雷庵目掛け何度も飛び交う。最初のうちは躱していたが、何を思ったのか飛び交う鉄の塊に手を伸ばし掴みにかかった。しかし、敵も想定内だったのか鎖を巧みに操り軌道を変えて蛇のように雷庵の腕に絡みついた。常人ならば腕が絞り潰れているところだがメギチッと歪な音とともに鎖を引き千切ったのだ。

死角から、茂呂が薙刀を突き立ててくるがそれを無視して武器が半壊した師岡の方へ駆けていく。

しかし、師岡はいつの間にか右手にボウガンを携えており接近してくる魔人の顔面に射出した。ボンッと音を立てて矢が発射されるが身体を捻り肩口で受けた。そして止まること無く両腕を伸ばして師岡の頭を両手で掴んだ。

師岡「おおっ?」

刹那、ゴギギッと歪な音を立てて盾に80ど捻じ曲げられた。

茂呂「師岡!!!」

頸椎を完全に捩じられ絶命した師岡は返事の代わりに地面へと倒れ落ちる。そして魔人が振り返り、襲いかかる。

大振りの一閃。薙刀を縦に振り降ろしたが刃は魔人の肩口に刺さっている矢を半分に切り落としたが雷庵自身は側面へと回り込んだ。そして金属の塊のような拳を打ち放つ。

茂呂は瞬時に薙刀を半回転させて棒の部分で受けた……が、バットの柄ぐらいの太さはある金属の塊がスポンジケーキのように拳の形に歪んでいきそのまま顔面へと突き刺さった。

遠目で様子を窺っている風水と変造が声をそろえる。

「「っしゃあ!」」

周りを囲んでいるガーディアン達に動揺が走る。

「茂呂さんもやられた!」

「ランカーが二人も…!」

魔人は肩口に突き刺さっている矢に手を掛けると力任せに引き抜いた。当然ながら傷口から鮮血が吹きだすが構わずに続ける。

雷庵「次、死にたい奴はかかってこい。先に断っておくが、一人も逃がさねぇぞ。」

ガーディアン立ち全員が思った……コイツは人間ではない……。

変造「雷庵の奴!マジで一人でやっちまうぞ!!」

風水「……!!まって「集団」すごい人数がこっちに向かってきてる!」

そのとき戦局が……動きだした。

第二VIPフロアで生死をかけた極限の中で、余裕を持って傍観する滅堂、圧倒的優位であるはずなのに滅堂の余裕に違和感を感じる速水。

ガーディアンのひとりがトランシーバーに叫んだ。

「増援だ!エレベーターホール待機組は全員VIPルームに上がってこい!!一気に叩きつぶす!!」

『~~……~~!!』

「!?何!!?聞き取れないぞ!!何をやっている?」

一階のエレベーターホールでは押さえていたガーディアン達が制圧され始めていた。

「ど……!?どうなってる!?分断したはずの護衛者が全隊員揃っている!!?」

二番隊隊長:吉岡
三番隊隊長:J
四番隊隊長:船岡
五番隊隊長:気高
六番隊隊長:名和
七番隊隊長:相生
八番隊隊長:桂見
九番隊隊長:用瀬
十番隊隊長:山王
十一番隊長:三萩野

一番隊長(総隊長)が叫んだ。

厳城「一・二・三番隊長は引き続きホール制圧!!残りは隊毎にドームへ拡散!!!テロリスト共を捕縛しろ!!」
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