ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:廊下ー

奇しくも守護者達と摩耶、金田末吉、右京山寅、アダム・ダッドリーが鉢合わせとなり戦闘となった。

しかし、全員が負傷中であり特に摩耶は車いすに乗っているほど、そこで寅とアダムが敵全員を相手取り金田と摩耶は助けを呼ぶために離脱……したはずだったのだが、どこもかしこもガーディアン達に抑えられ助けを呼びにいくどころではない。

どうするかと末吉が摩耶に相談しようとしたが、摩耶は車いすから立ち上がりもと来た道を戻り敵を倒すことを提案した。

戻ってみるとガーディアンの中でも頭一つ分抜けていた龍旼以外は倒していたが、アダムは腹部に一撃を受けてしまったのか相当な出血、寅も攻めきれずにいた……。

その膠着状態を見て摩耶はアダム、寅を抜けてロンミンの前へと進み出たのだ。

自らの手が延長したかのように巧みに青龍刀を操る。一閃一閃が絶命必死の斬撃を摩耶は躱し続ける。

一番の重体者である摩耶が攻撃を避け続けている奇跡。しかし、ロンミンは面白がるように斬撃がより鋭くスピードを増していく。

寅「これは……!まさか、鬼状態か……!?」

ロンミンから重低音のような怒涛の心音と共に皮膚が褐色に染まっていく。

アダム「マヤァァーーーーっ!!もう下がれーーーッッ!!言わねぇこっちゃねぇ!!!マヤの奴、防戦一方だ!!真っ二つも時間の問題だぜ!!!」

寅「…行くぞ。」

拳を硬く握り構える寅だが末吉がそれを制した。

末吉「ちょっと待ってください寅さん!!ここで右手を使えば、本当に再起不能ですよ!!それにこの狭い地形じゃ挟撃も不可能!」

瞬間、ロンミンが渾身の振り降ろしで摩耶を八割れ(頭を真っ二つ)に仕掛けた、しかし摩耶は上半身をかなり低く下げて身体を振って絶命を避ける。

龍旼「…………!」

末吉「!!?」

またかわした!!……やはりそうか!敵は勿論、二人も違和感は感じているはず……だが、真相に気付いているのは、恐らく私だけ……。

摩耶君は私と同じ【先読み】を習得しつつある!あの重傷で、敵の猛攻を躱し続けられるのは【先読み】しか考えられない。

今は未完成だが、もし完全に習得したら……!!

摩耶「ハッハッハッハッ……スウゥゥッ!」

龍旼「……」

このガキ、何かを試してやがる。別小看我(なめんじゃねぇぞ)。何もさせねぇよ!

片手で青龍刀を振り回しつつ、龍旼はシャツの一番上のボタンごとネクタイを引き千切って首元を開けた。そこには「百足」の刺青がちらりと見える。

龍旼「思い知れ、格の違いを。」

摩耶「ハァハァ」

同時刻、肉体が肥大しブチッブチッとシャツのボタンが弾け胸板があらわになった蘭城にも「百足」の刺青が見えていた。

蘭城「いくぞ……小鳥遊悠。」

悠「……」
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