ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー大江戸学園・廊下ー

南国「徳田、ちょいと待ちな」

放課後、吉音といっしょに帰ろうとしたいたところを呼び止められた。

吉音「どうしたのサブちゃん?」

南国「お前さんにちと話があるんでぇ。小鳥遊、悪ぃけどひとりで帰ってもらえるか?」

いつも明朗な南国のおっちゃんにしては珍しく、どこか疲れを含んだような声。っか、疲れっていうよりは、呆れ?

悠「ああ、それは別に構わんすよ……。っか、吉……新、悪いことをしたなら、言い訳の前にごめんなさいだぞ」

吉音「なんであたしが何かしたって決まってるの!?ひどいよ悠!」

悠「いや……だって、なぁ?」

先生の反応や態度を見る限り決まりだと思うんだけど…。

吉音「あたし何もしてないもん!」

悠「ほんとうに?」

吉音「ほんとほんと!」

南国「あ~~確かに、徳田はなんもしてねぇわな」

先生の言葉に吉音が元気よく返事をする。

吉音「ほら!」

悠「そうなんすか?」

南国「ああ、なんもしてねぇよ」

吉音「ほらほら!」

南国「本当になんもしてねぇ」

吉音「ほらほらほら!」

南国「な・ん・に・も!な?」

吉音「ほ……ほら?」

先生の様子に気がついたのか、得意気だった吉音の顔に陰りができる。

悠「あー……なっほど。そういうことか」

南国「授業中は爆睡しやがってなにもしやがらねぇ。課題を出してもガン無視でなにもしやがらねぇ」

吉音「え~と?」

南国「お前さん、成績が悪すぎんでい。つーわけで今日は居残り勉強だ」

先生が吉音の襟首を掴んで引きずっていく。

吉音「ええぇぇ~!やだやだやだやだやだやだ!」

南国「コラッ!あばれんじゃねぇ!」

吉音「許してサブちゃん!どうせ勉強したってわかんないから!」

南国「心配すんな、お前さんが理解するまでいくらでも付き合ってやらぁ」

吉音「い~や~だ~!悠ぅ~!たーすーけーてー!」

騒ぎ声を残すだけ残して、二人は廊下の先へと消えていった。

「徳田さん、大変そうですね」

悠「あれは自業自得ですよ。」

返事をしながら振り替えると由比雪那さんが立っていた。

雪那「ですが、そうですね…以前少しお話ししましたが、私、南町で乙級の生徒相手に私塾を開いているんです。」

悠「張孔堂…でしたっけ?」

雪那「えぇ。もしよろしければ、徳田さんに私の所に来るように勧めてみてはいかがですか?」

悠「いいんすか?乙級の生徒相手の私塾なんでしょ?」

雪那「構いませんよ。学ぶ意思のある者に乙級も甲級もありませんからね」

その、学ぶ意思ってやつがないから吉音はあんな風になってる気もするけど…

悠「とりあえず、話しはしておきます。(張孔堂か…少しでも吉音の為になるなら、明日にでもさっそく連れていってみるか。)」
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