ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:第二VIPルームー

一進一退の拮抗状態で魏&護衛軍と守護者郡がぶつかり合う。

「起爆装置を奪え!!」

「させるかッッ!!」

速水に向けていくが狙いを絞るということはどこを重点に守ればいいか白日ということでもある。群像たちが雌雄を決する中……。

速水「……」

起爆装置など……ない。知っているのは、一部の腹心のみ。30分後、ドームは消し飛ぶ。闘技会員も、各国首脳も、貴様の築き上げた全てが灰塵となる。

片原滅堂。貴様の遺産はなにひとつ残さん。

歴史は、私が築く。



空き室でレイピアに付着した血を拭いながら言い放った言葉に城は一瞬理解が追い付かなかった。

城「な……なんて……?」

蘭城「逃げろ。このドームは、間もなく崩壊する。その男を連れていくならお前も見逃してやる。」

守護者の男が床で眠っている悠を顎で指した。

城「ゆ…?悠さんを?どうして悠さんを……」

蘭城「今は好機だ。この先で、ユリウスがB班と交戦中。ウチの班員は増援に向かっている。自分が捨て駒だと気づいて怒り心頭。今なら警備は手薄だ。さっさと脱出しろ。」

城「ちょ……ちょっと待って…!ドームが崩壊するって…?こんなことしてる場合ですか!?早くみんなで避難しないと!!」

蘭城「……勘違いするなよ。」

守護者はレイピアを倒れている春男に突き立てた。

春男「ぎぃっ!」

城「やっ!!やめて!!」

蘭城「善意から、見逃すと思っているのか?「小鳥遊の血」を生かせ。俺が受けた指示はそれだけだ。」

城「小鳥遊の……血?いったい何のことです…?」

蘭城「知る必要はない。知ったところで、お前には何もできない。小鳥遊悠を連れてドームを去れ。お前が生き残る最後のチャンスだ。」

こ……コイツ……悠さんを名指しに…!!……気まぐれ何かじゃない。明らかに、悠さんに目をつけている!

ガタッ……城の背後で何かが動いた音がする。振り返ると立ちあがっていた。

城「……え?」

蘭城「……この場合、タイミングが悪いというべきか?だが、この上なく良いタイミングともいえる。」

城「ゆッッッ!!?悠さん!!?気がついたんですね。」

悠「……」

立ち上がった悠はボーッとした様子で視線を城、蘭城、手に持っている武器、そして倒れている春男へと視線を流していく。

城「ゆ、悠さん……?」

悠「城……おれが寝てる間に何があった?」

城「はっ!!はいっッ!!そ、それがいきなりコイツらが襲ってきて……あっ!」

悠「…っと。」

悠はヨロッヨロッとした足取りで蘭城の方へと歩いていく。

や……やっぱり……意識が戻っても蓄積したダメージが消えたわけじゃない…こんな状態じゃいくら悠さんでも闘うことは……!くっ!何か方法はないの!?今すぐ皆に、ドームの爆破のことを伝えなきゃ……!!
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