ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:第二VIPルームー

闘技ドーム周辺を取り囲み制圧を開始するはずだったガーディアン。だが、ある一人の男により阻まれていた。白スーツの男たちが殴り倒され空を舞って地面に倒れ落ちていく。

守護者「貴様ッ!!!」

顔が潰れた白スーツの男を片手で引っ掴み引きずり、笑いながら猛進してくるのは【魔人】魏雷庵。

雷庵「クカカカッ!!!マジでテロ起こしてやがる!!!さあて……蹂躙するぜ。」

第二VIPルームでも新たな動きがあった。ガラス張りの天井が音を立てて砕け散った。そこから何人もの人間が飛び降りると同時に着地点に居るガーディアンをクッション代わりに踏み潰していく。

絵利央「お待ちどう。魏一族、精鋭50名。確かに届けたぞい。」

ヘリから次々に飛び降りてくる魏の一族にガーディアン達に動揺が走る。

滅堂「駒は揃った。さて、遊ぼうかい?」

老若男女、服装も色んな仕事着の魏一族が一斉に前に出ると魏の長が一言はなった。

絵利央「外せ。」

完全に戦闘態勢へと入り敵を睨む魏一族。

滅堂「ひょっひょ!ビックリしたか速水?断っておくが、抗っとるのはワシらだけではないぞい。ほれ、お前たちも行きんしゃい。」

アギトは不在だが片原の護衛もまた精鋭。【前滅堂の牙】王森とミノルを筆頭に残りの護衛者たちも魏の一族と一緒に前へと出た。

速水「……受けよう。」

ガーディアンと護衛者&魏一族の壁が一斉にぶつかり合う。

闘いは、各所で始まっていた。



立見席の廊下に居た【氷帝】氷川涼が自分たちに向かい来るガーディアンのひとりがヌンチャクを振るい襲いかかってくる。しかし、氷川は身体を翻し一撃を躱し、膝目掛け蹴りを落とした。おかしな方向に足が曲がったガーディアンからヌンチャクを奪い取ると頭上に叩き落とした。

べゴンッと鈍い音を立てて倒れ伏せるガーディアン。それを見ながらガーディアンのひとりを引っ掴んで顔面に巨拳を叩きこむ【格闘王】大久保直也がいった。

大久保「怪我人が無理すんなってかお前、武器もイケるんかい。」

右腕は未だギプスが巻かれているため左腕一本ではあるが巧みにヌンチャクを操り氷川はいった。

氷川「「治安の悪い所」に住んでたからな。武器は一通り使えるんだよ。」

大久保「ほーん。ほんなら仕方ないな世の摂理や。」

【土俵の喧嘩屋】鬼王山尊の渾身の突貫【激旺】をぶちかまされ壁に叩きつけられる者。

【蔵王権現】金剛の一撃に手に持った武器もろとも砕き潰される者。

【夢の国から来た男】根津マサミが仕合では出す前にやられてしまった【エレクトリカルブロー】でかち上げられ天井にぶつかる者。

「逃げんなボケッ!」
「殺せ!」
「は、速ぇぇっ!」

初見「……」

全力で逃げ出す【浮雲】初見泉……。



頭を掴み、そのまま壁に押し付けながら頭を握り潰していく。既に二人ほど顔面が潰され床に転がっていた。その躊躇ない悍ましい殺害行為に他のガーディアン達も足を止めらずえなかった。

【処刑人】阿古谷青秋は静かに、だがハッキリとした口調でいった。

阿古谷「「悪」には死を。俺は、「正義」だ。」

死刑を執行しようとしたその時、何者かが阿古谷の腕を押し上げて潰しかけているガーディアンを開放した。そこに立っていたのは【滅堂の牙】加納アギトだ。

アギト「殺すな阿古谷青秋。御前の命だ。」

阿古谷「……貴様か」

アギト「奈喜良、ここは引き受ける。ドームに残った護衛者250名、お前が指揮をとれ。」

奈喜良「応!!」

護衛者に令を出すと廊下に残ったのはアギトと阿古谷、そして大量のガーディアン達だ。

「【牙】…!」
「加納だ…!」

阿古谷「加納。正義の執行を妨げるなら貴様も殺す。」

アギト「逸るな今はその時ではない。まずはこの者たちを排除する。」

阿古谷「……いいだろう。」
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