ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:第二VIPルームー

速水の発言に良いリアクションで義武が返した。

義武「爆弾!?どうやって設置したのよ!?護衛者たちの警備を掻い潜って!」

滅堂「……侵入者じゃな?」

義武「!」

「黒使」を囮に使った北の岸壁からの侵入。

滅堂「それもまた、ドームの警備を手薄にする囮だったというわけか。」

速水「左様。爆弾の設置は天狼衆が行った。」

忍術と中国拳法を融合させた旧日本軍特殊部隊「天狼衆」。奴らは元々忍びの末裔、隠密行動はお手の物よ。

飯田「……」

速水「それと八頭貿易、外部との連絡を取っても無駄だぞ。」

ポケットに手を入れ携帯を操作していた飯田正に釘を刺した。

飯田「!!」

我が下僕【百人会】各社の関係者名目でトーナメントに帯同させている【守護者(ガーディアン)】その数1000人。

連中には、ドーム外の包囲とドーム内の制圧を命じてある。ゴキブリ一匹逃がさんよ。

自慢の護衛者で守護者を倒せるか?不可能だな、ドームに残っている護衛者は250人。半数は、侵入者の鎮圧で不在だからな。

義武「っ……!!」

つ……詰みだわ……!トーナメントを中止すれば、片原会長の責任問題に発展することは確実。会長辞任は避けられない。

かと言って要求を否定すれば多数の死者が出る。合衆国のラトンプ大統領、前大統領のモバマ氏、ロシアのペーチン首相他各国の要人。それに闘技会会員たち。

どちらにせよ片原会長の失脚は避けられないわ。とうぜんそれだけじゃ済まない。そんな事態になったら、闘技会の存在自体が難しくなる。

それどころか東洋電力の関与が発覚すれば、速水は文字通り世界中を敵に回すことになる。そんなリスクをあの速水が負う?爆弾はブラフの可能性が高いわ。

……あるいは……リスクをものともしない「後ろ盾」がある…?

速水「トーナメントが中止になってところで、既に敗れた諸君には関係あるまい。それどころか私は、諸君に新たなチャンスを用意している。」

「「「!」」」
義武「チャンスですって!?」
「「「?」」」

速水「約束しよう。要職を懸けた「新たなトーナメント」を私が開催する。共に「新たな闘技会」を築こうではないか。」

PM4:44分……東洋電力によるクーデター勃発。各所に武装したガーディアン達の襲撃が開始される。

重大な怪我を負っているにも関わらず医務室ではサッカー大会が開催されていた。未だ意識が戻らない小鳥遊悠と茂吉ロビンソンはベッドで寝かされてはいるものの、室淵剛三や因幡良、また注意すべきはずの医者である英はじめもガッツリと参加して居る。

若干問題がある空間だが、突如乱暴にドアが開かれるとガーディアン達が雪崩れ込んできた。あきらかに怪我人ではなく凶器を手にした集団に医務室にいる闘技者たちは即座に臨戦態勢に切り替える。
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