ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

ボディへの一撃でアギトのガードが下がった。寅がその隙を見逃すわけもなく超高速の打撃【閃光】を放つ。スパパパパッと機関銃の発砲を錯覚させる音とともにアギトの顔面に着弾する。

数発の直撃、アギトは両腕で自分を抱き守るようにガードを固めた。

しかし、寅は大地を踏み蹴りさっきよりも深いアッパーを腹部に叩きこんだ。深々と拳が突き刺さりアギトは口から盛大に血を吐き散らした。

アギト「……!!」

……なんだ……?いつから「私」は右京山寅(この男)と闘っていた?……記憶を飛ばされた?この「私」が?

素晴らしい。

一瞬完全に意識を飛ばしていたアギトの顔面に拳が打ち込まれた……が、殴られながらも大きく一回転して飛び下がった。

大久保「回転して衝撃を分散させよった!!」

アギト「ハアァァぁ!!」

口元の血を拭いアギトハ悪魔じみた笑みを浮かべる。

素晴らしいぞ!右京山寅。

「俺」の全身全霊を以て、引導を渡してやる。

金剛「……(ダメージは、まだ残っているか……だが「いつもの構え」に戻った!)」

寅「……どうした?ボクシングごっこは終わりか?」

アギト「……認めよう「今はまだ」お前のボクシングには及ばん。」

寅「驕りが過ぎるな。いずれは俺のボクシング技術を超えるとでも?」

アギト「無論ッッッ!!!【滅堂の牙】は、あらゆる存在を超越する!!!!!!「我戦う、故に我あり」。」

寅「ほざいてろ。」

ヒットマンスタイルの構えを崩さずその場でトットッとステップを踏む寅。対して両腕を広げやや前傾姿勢のフリーな構えに切り替えたアギトはジリジリと距離を詰め始める。

アギト「……」

寅「……」

「「「ワアアアアァァァァッ!!!」」」

二人の睨み合いに観客たちの声がヒートアップする中、突如ダンッ!!と地面を踏みこむ音がし、アギトの姿が消えた。

次の瞬間には寅の目の前まで移動しており、右の剛拳でショートアッパーを仕掛け寅のボディを穿とうとした。しかし、寅は右手でそれをしっかりとガードした。

しかし、アギトの攻撃は止まらず素早く拳のラッシュを仕掛けた。ガードを固めて攻撃を受け止めるが、その勢いの寅の身体は圧し下げられる。さらに仕掛けようと勇猛果敢、否、猪突猛進気味にアギトが拳を振り上げる。

しかし、それに合わせて寅も前へと飛びこだした。

アギトは更にラッシュの速度を上げて寅へと浴びせかけるがスウェイとパリングで度道の攻撃を避け続ける。

「すっげえラッシュ!!!決める気だぜ【牙】!!!」

観客たちがワアッと盛り上がるが不意に違和感を感じ始める。

「…………あれ?」

アギトはジャブの連射、時にフックを仕掛ける。そのタイミングを逃さず、寅は割り込むようにカウンターで敵に打ち返す。

観客も気付き始めた。

【結局、ボクシングやってね?】

片原滅堂の、表情が変わる。

ラルマー「(どうだ御老。余の【剣】は?)」

氷川「おいおい、【牙】は何考えてんだ!?いつまでボクシングに拘ってんだよ!?」

大久保「…………いや、ちゃうぞ。……封じられとるんや。「ボクシング以外」を。」
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