ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

打ちながら躱し合う双雄、一瞬の拮抗からよりスピードが増した寅の打撃がアギトを強襲する……が、残像を残す流麗なスウェーで【閃光】に対応している。

それを見て、一回戦でアギトと闘った大久保直也が驚愕する。

大久保「んなアホなッッ!!」

相手はあのトラやぞ!??ボクシングの頂点やぞ!???何をシレッと、ボクシングで渡り合っとんねん!!!???

二人の男の高速ジャブと高速回避を中心に衝撃の波紋が広まる。

鞘香『すっ、凄いジャブの応酬だ!!!!!!』

目の前で繰り広げられる超一流の打ち合いに観客たちもヒートアップする。

金剛「……」

いや。リーチの差は大きい。このままではいずれ……。

抉り刈り込むようなフックをアギトが仕掛けてきたが寅は膝を曲げて屈伸運動の要領で攻撃を避けるのと同時に、体躯を立て直し【閃光】を放った。

攻撃直後ということもあり、即座に避けに転じることもできず、かといって腕でのガードは不可能。ついに、寅の拳がアギトに着弾する……っと、思った瞬間、伸びきっていたアギトの腕がそのまま振り降ろされた。

もちろん、ダメージは無い……っが、寅の拳の上に落とされ拳は空を切りガクンッと体勢が崩れた。

金剛「!!」
関林(崩されたッ!!)

アギトが悪魔じみた笑みを浮かべる。

待ちわびたぞ。この瞬間(時)をッ!!!

左ストレートが体勢を崩した寅の顔面に打ち放たれる。拳闘者に匹敵する渾身の一撃……だったが、寅はステップを踏んで大きく全身を振るって右に回転し、左ストレートをいなした。そして、そのまま大きく一歩踏み出した。

待ちわびてたぜッ。この瞬間(時)を!!

大地を蹴り飛ばし最強のストライカー(打撃者)の右ストレートがアギトの顔面を打ち抜いた。ズドォッという打撃音と共に顔面の至る所から血をまき散らす。

大きく仰け反るも牙は拳を打ち返そうとしたが闘神は冷静に身を下げてそれを避け隙だらけのボディにフックを差し込んだ。

アギト「ぎっ!」

食いしばった歯の隙間から血が吹きこぼれるもアギトハ更に拳を振って敵を捕えようとしたが寅はバックステップで距離を開け避ける。

金剛「……」

肩で攻撃をいなし、カウンター気味の右ストレート!!

金剛の額から汗が零れ落ちた。モニターに映る強大である敵、加納アギトが立ち構えてはいるもののガクッガクッと膝や肩が揺れているのだ。

効いているッッッ!!!

鞘香『うわああああああ!!!???【牙】がふら付いている!!!???こんなの初めてだ!!!大穴来るぞコレッッッ!!?寅さらに攻める!!!』

前進する寅に対し、アギトは両腕を縦に構えてガードの体勢を取る。寅はガード上からジャブをぶつけSの字を描くように上半身を振り隙ができた腹部にショートアッパーを打ちこんだ。

一打目に集中してしまい、いくらアギトとはいえ僅かに緩みができた腹部への打撃はダメージが通る!!