ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:廊下ー

初見VS坂東の闘いは初見に軍配が上がった。

生物として人間を殺すことに何の躊躇も持たない鬼札である坂東の敗北に十王通信の高田清助は何を思っているのか一人廊下の窓からぼんやりと外を眺めている。

「高田社長。」

すると何者かに声をかけられ高田はそちらの方に振り向いた。

高田「ん?」

視線の先には真っ白なスーツを身につけた髪の長い男、速水勝正の【守護者(ガーディアン)】である龍旼がうっすらと笑みを浮かべて立っている。

龍旼「心中お察しします。……ところで、「我が主」が内々にお話したいとのこと。ご同行願いますかね?」

高田「……ほう…?」

そのころ、医務室ではベッドの前でパイプ椅子に座っている少女【小間使い(秘書代理)】の城厘に【解剖魔】の英はじめが声をかけた。

英「……城さん、いかがですか?」

城「英先生……相変わらずです。悠さん、まるでぐっすり眠ってるみたい……。」

ベッドには人工呼吸器や点滴、そして電子機器のチューブが身体に繋がれ静かに横たわる【阿修羅】小鳥遊悠の姿があった。

英「…悠君は置いておいて、私が心配しているのは、貴女ですよ。二回戦終了後、意識の戻らない悠君を目の当たりにして、貴女は一時的な錯乱状態に陥った。」

脳が現実の認識を拒否。「悠さんを探す」と駆けていった貴女を探すのに苦労しましたよ。

城「ははは……ホント恥ずかしいところをお見せしました……つくづく自分が嫌になりますよ。私とそれほど年も離れていない悠さんが、こんなになるまで頑張ってるっていうのに……私は……応援することぐらいしかできないなんて……。」

慶三郎「ちょっとリンちゃん元気だしなさいよ!」

因幡「悠ならきっと大丈夫だでよ~」

室淵「闘技者とは、タフなのだよ」

【暗黒鳥】の沢田慶三郎(右足骨折、松葉杖使用)、【黒呪の亡霊】因幡良(全身打撲とヒビ)、【測定不能】室淵剛三(アバラ骨、内臓に損傷)の普通ならば重体レベルだが平然と近づいてきて話しかけてくる。

英「君達、大人しく寝ておきなさい。」

城「皆さん、ありがとうございます。」

願流島のヘリポートに一台のヘリが着陸した。そこから魏一族に命を狙われた禅と一緒に弩躬と灯、そして銀次がヘリから降りて遠くに見える闘技ドームの方を向いた。

禅「……」
『ここからは徒歩で移動ですね。』

そういうとセグウェイのような電動二輪のハンドルをもって乗り込むと軽快に走りだす。

弩躬「それ、徒歩じゃないよな。」

灯「私たちの分はなしですか……。」

銀次「座りっぱなしだったからちょっどいい運動だぜっ!」

っと、島に辿り着いた禅一行たちが闘技ドームに向かう中、会場ではドンッドンッという足踏み音と例のコールが響き渡っていた。

「「「牙(キーバ)ッ!!!」」」
「「「牙(キーバ)ッ!!!」」」
「「「牙(キーバ)ッ!!!」」」

鞘香『二回戦最終仕合!!!最初に入場するのは、この男!!!裏格闘技界の生きる伝説!!!!一回戦は表格闘技界の伝説(レジェンド)、【格闘王】大久保直也と対戦。圧倒的な強さで大久保を撃破!!!その伝説に終止符を打ちました!!!最強伝説はひとつでいい!!本日、新たな伝説が作られる!!!【滅堂の牙】加納アギト!!!』
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