ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
最初に初見が違和感を抱いたのは……「防御創(ぼうぎょそう※)」
※身を守る為についた傷
坂東が手にかけた被害者の遺体には、防御創がなかった。これの意味するものは何か?
解……被害者は不意を突かれて殺害された。
だが、生存者の証言によると坂東は被害者と正面から対峙している。すなわち、姿を隠しての奇襲という線は消える。
初見が着目したのは、坂東の死刑執行記録。45回もの死刑を生き延びた坂東。
初見は坂東を「超軟体体質」の持ち主と確信した。
被害者たちは不意を突かれた=間合いの外から不慮の攻撃を受けた?超軟体体質を利用し、「手足のいずれかまたはその両方の関節を外して伸ばし、間合いの外から被害者を撲殺した」?
一見突拍子もないこの推理は、坂東逮捕時の診察記録により一気に信憑性を帯びる。
柏「両肩関節周囲の炎症。右肩関節関節包面断裂……なるほど」
初見「「手」が正解か。」
振り上げられた右腕が振り降ろされる。鞭のようなしなやかさを持ちながらも斧のような鋭い重撃を合わせた一撃を初見は皮膚一枚で避けて人差し指、中指、薬指の三指を重ね目突きを直撃させ後ろに飛び下がった。
しかし、左目を押さえている手をどかすと充血はしているものの目玉がが存在している。
鞘香『潰れていません!!充血はあるものの左目は無事ッッッ!!』
下がり逃げようとする初見目掛け坂東が左腕を振った。初見は咄嗟に横に飛んだ。それと同時に明らかに腕が届く距離ではないはずの位置の地面が爆裂する。
兜馬「(まるで見えない!!速すぎる!!!)」
選手入場口から仕合を眺めている兜馬だがもはや肉眼では捉えることすら困難な速度で坂東の腕が振るわれ初見に襲いかかる。
鞘香『ば、爆発が起こってる?』
ジェリー『!?(腕が伸びた?錯覚か?)』
初見「……」
鞘香嬢が気付かないのも無理ねえ。
闘技者でもこの技を見抜ける奴はひと握りだろう。当然、観客連中に見えるはずもねぇ。前情報がなければ俺とてかわせたか……危機一髪ってとこだな。
医務室でも坂東の腕の伸縮について納得したように関林ジュンがいった。
関林「なるほど。奴の腕が伸びたように見えたのは錯覚じゃなかったわけだ。関節を伸ばして間合いを伸ばしてやがったのか。」
英「……」
関林「どうした先生?」
英「……なぜ、一回戦で、この技を使わなかった?」
関林「……あ。」
春男「そ、そういえば…」
英「正闘技者の君達ですら初見では見切れぬ技。戦闘のプロではない私に防ぐ手立てはない。最悪、即死もあり得る威力……なのになぜ、一回戦であの技を使わなかった?使う気がなかった?或いは……使えなかった?」
最初に初見が違和感を抱いたのは……「防御創(ぼうぎょそう※)」
※身を守る為についた傷
坂東が手にかけた被害者の遺体には、防御創がなかった。これの意味するものは何か?
解……被害者は不意を突かれて殺害された。
だが、生存者の証言によると坂東は被害者と正面から対峙している。すなわち、姿を隠しての奇襲という線は消える。
初見が着目したのは、坂東の死刑執行記録。45回もの死刑を生き延びた坂東。
初見は坂東を「超軟体体質」の持ち主と確信した。
被害者たちは不意を突かれた=間合いの外から不慮の攻撃を受けた?超軟体体質を利用し、「手足のいずれかまたはその両方の関節を外して伸ばし、間合いの外から被害者を撲殺した」?
一見突拍子もないこの推理は、坂東逮捕時の診察記録により一気に信憑性を帯びる。
柏「両肩関節周囲の炎症。右肩関節関節包面断裂……なるほど」
初見「「手」が正解か。」
振り上げられた右腕が振り降ろされる。鞭のようなしなやかさを持ちながらも斧のような鋭い重撃を合わせた一撃を初見は皮膚一枚で避けて人差し指、中指、薬指の三指を重ね目突きを直撃させ後ろに飛び下がった。
しかし、左目を押さえている手をどかすと充血はしているものの目玉がが存在している。
鞘香『潰れていません!!充血はあるものの左目は無事ッッッ!!』
下がり逃げようとする初見目掛け坂東が左腕を振った。初見は咄嗟に横に飛んだ。それと同時に明らかに腕が届く距離ではないはずの位置の地面が爆裂する。
兜馬「(まるで見えない!!速すぎる!!!)」
選手入場口から仕合を眺めている兜馬だがもはや肉眼では捉えることすら困難な速度で坂東の腕が振るわれ初見に襲いかかる。
鞘香『ば、爆発が起こってる?』
ジェリー『!?(腕が伸びた?錯覚か?)』
初見「……」
鞘香嬢が気付かないのも無理ねえ。
闘技者でもこの技を見抜ける奴はひと握りだろう。当然、観客連中に見えるはずもねぇ。前情報がなければ俺とてかわせたか……危機一髪ってとこだな。
医務室でも坂東の腕の伸縮について納得したように関林ジュンがいった。
関林「なるほど。奴の腕が伸びたように見えたのは錯覚じゃなかったわけだ。関節を伸ばして間合いを伸ばしてやがったのか。」
英「……」
関林「どうした先生?」
英「……なぜ、一回戦で、この技を使わなかった?」
関林「……あ。」
春男「そ、そういえば…」
英「正闘技者の君達ですら初見では見切れぬ技。戦闘のプロではない私に防ぐ手立てはない。最悪、即死もあり得る威力……なのになぜ、一回戦であの技を使わなかった?使う気がなかった?或いは……使えなかった?」