ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】
ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー
闘技場では既に入場した初見泉が仁王立ちで待ち構えていた。同じようにレフリーのチーター服部も対戦相手の登場を待つがチラッと腕時計に目をやった。
遅え……十王通信は何やってんだ?
鞘香『十王通信なかなか入場してきません。』
ジェリー『MCSASHIMIYAMOTOTacticsデスネー。』
鞘香『気がかりなのは初見選手。何時現れるともしれない対戦相手に冷静に対処することができるでしょうか。』
ジェリー『MCSASHIMIYAMOTOTacticsデスネー。』
小鳥遊グループ社長の小鳥遊兜馬が観客席で鼻く選手入場口から静かに初見を見遣り闘技会が始まる五か月前のことを思い出していた。
兜馬「「旅に出る」?」
初見「ああ。今度はちょっと長く留守にするぜ。」
兜馬「……このタイミングでか?闘技絶命トーナメントを開催するには、少なくともあと五戦、闘技仕合に勝たねばならないとわかっているだろう。」
初見「本戦以外の仕合なら他に使える奴だったいるだろう。トップクラスに及ばなくても、それ以下の相手なら用意するのも難しくないはずだ。」
兜馬「確かに、最強豪グループとの対戦を避ければ対処はできるだろうが……泉。考えあってのことなのだろう?」
初見「おやっさんもよく知ってるだろ?俺って奴はよぉ、ムラッ気が半端じゃねえんだわ。こればかりは持って生まれたもんだからなぁ。変えようたってどうにもならねぇ。今の感覚だとこれから調子は下り坂になっていくはずだ。この状態じゃあトーナメントなんてとてもとても…………だが、絶好調の俺なら【牙】も敵じゃねえ。」
兜馬「……「調整」か。」
初見「そんな大げさなもんじゃねえよ。ただのリフレッシュさ。親戚に忍術道場をやってる変わり者が居るんだ。しばらくそこに厄介になろうと思っている。しばらくのんびりしたら山に籠ろうと思ってる。言っとくが修行じゃねえぞ。三色昼寝付き優雅なスローライフだ。」
兜馬「……それはもしかして軽井沢の私の別荘のことか?」
初見「そうそう!管理人には話しつけといてくれよな♪心配すんなって。上手くいけば次の闘技会会長はオヤッさん、アンタだぜ。「上手くいけば」な?」
軽い調子でそんなことを言ってきた初見泉に小鳥遊兜馬は仕方ないと思いながらもそれを許可した。
兜馬「……」
お前はいつもそうだった。
不真面目を絵に書いたようなダメ人間。お前のせいでどれだけの損失を被ったか……。
だが、私は知っている。お前は、誰よりも負けず嫌いということを。
初見「……遅せよ。寝ちまうところだったぜ。」
すると対戦相手の登場口から巨人が姿を現した。
鞘香『ばッッ、坂東だアアアアッッ!!』
【血染めの象牙】坂東洋平が登場したのだ。
医務室でモニターを眺めていた【解剖魔】の英はじめがパイプ椅子から滑り落ちた。
心美「先生っ!!」
……なんということだ!彼は確かに、死ぬはずだった。私が使用したウイルスを、この島の医療機関で死滅させることは不可能だ。
英「島内に我々の知らない医療設備がある?否。秘匿にする必要が無い。仮に秘密施設が存在するとして、十王通信が自由に使用できるか?坂東洋平はウイルス抗体を持っていた?否。事前の身体データを見る限り、その可能性は低い……何だ。簡単なことじゃないか。」
心美「えっ。」
床から立ち上がり英は導きだした仮説を口にする。
英「確証はない。ないのだが……こう考えるのが一番自然だ。島内の医療設備に頼らず、医師を帯同させている企業もいるが、単純な外傷とはわけが違う。非常に厄介なウイルスが相手だ。あのウイルスに対応できる企業は……「あの会社」だ。」
闘技会ドーム内の廊下で帝都大学の総長、太宰由紀夫が帯刀している刀を抜いて切っ先をある男の背へと向けた。
太宰「弁明を聞こう。何故、坂東の治療を引き受けた!?答えろ小鳥遊柏ッ!!」
柏「……」
闘技場では既に入場した初見泉が仁王立ちで待ち構えていた。同じようにレフリーのチーター服部も対戦相手の登場を待つがチラッと腕時計に目をやった。
遅え……十王通信は何やってんだ?
鞘香『十王通信なかなか入場してきません。』
ジェリー『MCSASHIMIYAMOTOTacticsデスネー。』
鞘香『気がかりなのは初見選手。何時現れるともしれない対戦相手に冷静に対処することができるでしょうか。』
ジェリー『MCSASHIMIYAMOTOTacticsデスネー。』
小鳥遊グループ社長の小鳥遊兜馬が観客席で鼻く選手入場口から静かに初見を見遣り闘技会が始まる五か月前のことを思い出していた。
兜馬「「旅に出る」?」
初見「ああ。今度はちょっと長く留守にするぜ。」
兜馬「……このタイミングでか?闘技絶命トーナメントを開催するには、少なくともあと五戦、闘技仕合に勝たねばならないとわかっているだろう。」
初見「本戦以外の仕合なら他に使える奴だったいるだろう。トップクラスに及ばなくても、それ以下の相手なら用意するのも難しくないはずだ。」
兜馬「確かに、最強豪グループとの対戦を避ければ対処はできるだろうが……泉。考えあってのことなのだろう?」
初見「おやっさんもよく知ってるだろ?俺って奴はよぉ、ムラッ気が半端じゃねえんだわ。こればかりは持って生まれたもんだからなぁ。変えようたってどうにもならねぇ。今の感覚だとこれから調子は下り坂になっていくはずだ。この状態じゃあトーナメントなんてとてもとても…………だが、絶好調の俺なら【牙】も敵じゃねえ。」
兜馬「……「調整」か。」
初見「そんな大げさなもんじゃねえよ。ただのリフレッシュさ。親戚に忍術道場をやってる変わり者が居るんだ。しばらくそこに厄介になろうと思っている。しばらくのんびりしたら山に籠ろうと思ってる。言っとくが修行じゃねえぞ。三色昼寝付き優雅なスローライフだ。」
兜馬「……それはもしかして軽井沢の私の別荘のことか?」
初見「そうそう!管理人には話しつけといてくれよな♪心配すんなって。上手くいけば次の闘技会会長はオヤッさん、アンタだぜ。「上手くいけば」な?」
軽い調子でそんなことを言ってきた初見泉に小鳥遊兜馬は仕方ないと思いながらもそれを許可した。
兜馬「……」
お前はいつもそうだった。
不真面目を絵に書いたようなダメ人間。お前のせいでどれだけの損失を被ったか……。
だが、私は知っている。お前は、誰よりも負けず嫌いということを。
初見「……遅せよ。寝ちまうところだったぜ。」
すると対戦相手の登場口から巨人が姿を現した。
鞘香『ばッッ、坂東だアアアアッッ!!』
【血染めの象牙】坂東洋平が登場したのだ。
医務室でモニターを眺めていた【解剖魔】の英はじめがパイプ椅子から滑り落ちた。
心美「先生っ!!」
……なんということだ!彼は確かに、死ぬはずだった。私が使用したウイルスを、この島の医療機関で死滅させることは不可能だ。
英「島内に我々の知らない医療設備がある?否。秘匿にする必要が無い。仮に秘密施設が存在するとして、十王通信が自由に使用できるか?坂東洋平はウイルス抗体を持っていた?否。事前の身体データを見る限り、その可能性は低い……何だ。簡単なことじゃないか。」
心美「えっ。」
床から立ち上がり英は導きだした仮説を口にする。
英「確証はない。ないのだが……こう考えるのが一番自然だ。島内の医療設備に頼らず、医師を帯同させている企業もいるが、単純な外傷とはわけが違う。非常に厄介なウイルスが相手だ。あのウイルスに対応できる企業は……「あの会社」だ。」
闘技会ドーム内の廊下で帝都大学の総長、太宰由紀夫が帯刀している刀を抜いて切っ先をある男の背へと向けた。
太宰「弁明を聞こう。何故、坂東の治療を引き受けた!?答えろ小鳥遊柏ッ!!」
柏「……」