ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

サーパインは打たれながら腕を横薙ぎに振るった。雲山は当然、頭を振って直撃を避けるも……皮膚一枚避け損ね額から鮮血が吹き上がる。

怯むこと無く雲山はサーパインの腕と肩を掴み足を絡め払い床へと投げ落とす。受け身を取らせず叩きつけることに成功するもサーパインは雲山の腕を掴んで引きずり込みホールドする。

雲山「ッ……!!?」

何がコイツをここまで……!?

サーパイン「ゼェゼェゼェゼェ、フーーッ、フーーッ!!」

親父……兄貴……安心してくれよ。兄弟たちは、俺が守る。

そして……兄弟も、夜明けの村も、俺が守り抜いてみせるッッ!!

出せる限りの力を四肢に送りこみ絞め潰そうとするサーパインだが、雲山はずるりとホールドから身体を引っこ抜いた。

鞘香『離れた!!!血と汗でクラッチが滑ったか!?』

雲山が距離を取ろうとするがサーパインはそれを逃すまいと地面を手と足の両方で叩き跳ねて四足獣のような動きで飛びついていった。

サーパイン「う゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛っ!!」

鞘香『いっ!?いや!!!距離を取らないッッ!!!撮らせないッッッ!!!飛び膝蹴りで追撃をかける!!』

こうなると今までのようなヒット&アウェイをする余裕もない。雲山はガード固め、獣じみた執念の蹴りを受けた。サーパインもここしかない、ここが最後のチャンスだとばかりにがむしゃらに足を振りだし蹴りを放ち続ける。

鞘香『ローキック!ローキック!!左ロー乱れ撃ち!!!速さが売りの雲山選手には一番嫌な攻撃かもしれません!!!ガードする脛が見る見るうちに腫れあがるッッッ!!!』

雲山「ふんっッ!!!」

執念の獣の猛攻、だが、こちらも鬼、蹴られ続ける左足を振り上げてサーパインを蹴り返したのだ。つま先が脇腹へと突き刺さる。

鞘香『ッッッとオオオオ!!雲山選手の三日月蹴りがクリーンヒットォォォッ!!!』

サーパイン「ガッ……ぁァーーシャラァァァッ!」

一瞬の停止から即座に反撃に蹴り返す。

鞘香『だが止まらないッッ!!!軸足にローッッッッ!!!今度はモロに捉えたぞーーーッッッ!!!』

雲山「……!!」

サーパイン「……!!」

二人の闘士の視線がぶつかり合う。サーパインも限界ギリギリであるが、雲山も決して余裕があるわけではない。

互いに最大の一撃を出し合えるのは次が最後……。この一撃に全てを賭ける。サーパインも雲山もそれを感じ取った。して、行動に出た。

至近距離にも関わらず【雷閃】の動作に入り上半身を大きく下げ落としサーパインの足下へと滑りこんでいく。

対してサーパインは肘を固め振り上げた。雲山の頭部へと狙いを定めた。要領は【ビルマの鉄槌】と同じ、全力を全体重の全てを肘に乗せて敵へとブチ当てる。

一つの力は真下へ穿たれ、一つの力は真上へと打ちあがった。

二つの力がぶつかり合い……一瞬の静寂…………。

「……悪いな。読み勝ったのは、俺だ。」

両拳を組み固め真下から顎を打ち上げた鬼。

二度目の「顎」はサーパインの意識を闇へと沈めた……。

【吼える闘魂】【魎皇鬼】の前に散る。