ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

サーパインはダメージ覚悟で踏みこむと素早くローキックで雲山の足を打ち払った。ふくらはぎの辺りの道着の裾が千切れ散り露出した足は腫れあがっている。

しかし、雲山も顔色を変えずに何十倍もの打撃をサーパインの頭部目掛け打ち放つ。

サーパイン「ッッ!!」

痛てェッッッ!!メチャクチャ痛てェッッ!!!!!!

ボコボコに打たれながらサーパインは前へ前へと踏みこみ雲山の間合いを無理やり潰す。

鞘香『サーパイン選手猛ラッシュ!!!雲山選手は防戦一方になってきた!!!』

サーパイン「シャアアアアッ!!」

百目鬼雲山。アンタ、メチャクチャ強ェよ。だけど俺は……絶対に、勝つッッッ!!!

真っ正面から雲山の胴体めがけ膝を突き上げる。

鞘香『膝蹴りイイーーー!!!』

雲山「!!」

両腕を胸元でクロスさせて防御の体勢に入ったがサーパインの膝は勢いが緩みクロスさせた腕にピタッと張り付くように止まった。何が…っと一瞬思考が停止した雲山だったが自分の両腕を掴まれたことに気がついた。

サーパイン「ハァァァッ!!」

つ・か・ま・え・た!!!!!

押し付けている膝を軸に引っ掴んでいる腕を思いっきり引っ張りながら頭を超スイングで振り降ろす。

【ビルマの鉄槌】

ガアァァァァァンッと途轍もない衝撃と音……しかし、大きく後ろに仰け反ったのは仕掛けた側のサーパインだった。

どうなったのか下顎がおかしな方にひん曲がり血を吐きだしながら崩れ落ちていく。


腕を掴まれ振り降りてくるヘッドソバット、それに対し身体を固め自身の頭を雲山の顎にぶつけたのだ。結果、アゴに前衝撃を返した。

外装を透過し人体内部に衝撃を伝える「この技」。

発剄、鎧通し、裏当て、徹し……。

雲山「コォォォッ!!」

【百目鬼流:鬼撃(惨雷)】

仰け反っているサーパインに超々高速のラッシュが炸裂する。ただただ拳で殴るのではなく当てる部位により手の形を変えて滅多打ちにする。

顎へのカウンター、そして速射砲並みのラッシュを浴び続けるサーパイン……常人ならば、並みの闘技者ならとっくに決着はついていたことだろう。しかし、サーパインは未だ意識を保っていた。

激痛に顔を歪ませ、雲山目掛け飛びこんでいく。

サーパイン「ぐおぉぉっ!」

止めるな…この揺れを…!!

飛びつきホールドするとそのまま力任せに床へと押し倒した。

雲山「チッ」

舌打ちをこぼすが即座に足を真上に突きあげサーパインを蹴り剥がした。力の入りようのない体勢だっため押し退けたという方が正しい。サーパインは綺麗に着地するとすぐに立ちあがるが、それは雲山も同じ。身体を飛び起こし鬼撃(惨雷)を打ち放つ。

サーパインはガードして攻撃を受けた。超連打の打撃は頭蓋の中、脳を揺らし続ける。

【浮雲】の初見泉は顔中から血を流しながらも打ち続けられているサーパインを見つめた。

初見「「堅実」だ。」

凍夜のような「名手」なら別だが、動く標的の目を目を狙うのはリスクが高い。一度揺れた脳の振動が絶えぬ様、小刻みに当てていく。外傷はなくても徐々にダメージが蓄積していくって寸法だ。