ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
営業中の和が店、小鳥遊堂を眺める。店先に出された縁台に、屋号の入ったのれんと木の看板。やっぱりこうして見ると、自分の店ながら雰囲気がある。いただいたのれんや看板が上質で、いい仕事をしてるからこそだ。もらった物に恥じないように、頑張って店を忙しくしないと。
悠「ふっ、ふふ……」
光姫「自分の店を眺めながら、なにをニヤニヤしとるんじゃ?」
悠「おおぉうっ!み、光姫さん!痛っ……」
由佳里「こんにちは悠さん!」
悠「(痛~…アバラに響いた)ああ、お二人揃って、すいませんすぐに準備するんで」
光姫「よいよい、わしらは休みにきたのじゃからの。のんびり待たせてもらうよ」
悠「お待たせしました」
光姫「うむ……いい香りじゃ、悠は本当に茶を淹れるのが上手いな」
悠「ありがとうございます。ここで店をやるなんてどうしようかと思ってましたけどね。趣味がこんなところで役に立つとは思いませんでしたよ」
光姫「人生、どんな些細なことも無駄になるということはないでの。いいことも悪いことも、感じ、経験したことが積み重なり、その者の人生になっていく。人生楽ありゃ苦もあるさ、と言うであろ?」
悠「はは、そうっすね」
見た目としてはおれより随分若いのに、話す内容は老練な雰囲気をまとっている。この年で人生語ったりすると、下手すりゃ失笑ものなのにそんな感じがまるでしない。それだけいろんな経験を積んできたってことなんだろうな。まぁ、実際学園内でも副将軍っていうとんでもない地位にいるわけだし。そこまで考えて、ふと浮かんできた疑問を口にしてみる。
悠「あの、ちょっと変なことを聞いていいですか?」
光姫「ん?なんじゃ?」
悠「光姫さんって、副将軍っていうすごい地位にいるわけじゃないですか。こうして気軽に出歩いてていいんすか?」
光姫「かっかっか、なんじゃそんなことか。悠よ、周りを見てみい」
悠「?」
光姫さんに言われるまま、店の周りを眺める。放課後、まだ時間も早いこともあってたくさんの生徒たちが通りを行き交わっていた。
光姫「店先の縁台に座って、こうして茶を飲んでいたところで、誰もわしらのことを気にしてはおらんだろう?つまりはそういうことじゃ」
確かに、光姫さんのいうとおり、誰もこちらを気にする様子なんてなかった。まあ、考えてみればこんなところで副将軍の水都光姫様がお茶を飲んでるなんて誰も思わないよな。
光姫「人間は見たいものしか見ないからの。意識せんと目の前にあるものすら気づかない。黙っておればわからんもんさ、のうハチ」
由佳里「はい!毎日とっても平和ですよ!」
悠「そういうものなんですかねぇ」
光姫さんたちがいうなら実際そうなんだろうな。光姫さんが副将軍ってことを知ってしまってるから、おれのほうが変に意識しちゃってるのかも。
営業中の和が店、小鳥遊堂を眺める。店先に出された縁台に、屋号の入ったのれんと木の看板。やっぱりこうして見ると、自分の店ながら雰囲気がある。いただいたのれんや看板が上質で、いい仕事をしてるからこそだ。もらった物に恥じないように、頑張って店を忙しくしないと。
悠「ふっ、ふふ……」
光姫「自分の店を眺めながら、なにをニヤニヤしとるんじゃ?」
悠「おおぉうっ!み、光姫さん!痛っ……」
由佳里「こんにちは悠さん!」
悠「(痛~…アバラに響いた)ああ、お二人揃って、すいませんすぐに準備するんで」
光姫「よいよい、わしらは休みにきたのじゃからの。のんびり待たせてもらうよ」
悠「お待たせしました」
光姫「うむ……いい香りじゃ、悠は本当に茶を淹れるのが上手いな」
悠「ありがとうございます。ここで店をやるなんてどうしようかと思ってましたけどね。趣味がこんなところで役に立つとは思いませんでしたよ」
光姫「人生、どんな些細なことも無駄になるということはないでの。いいことも悪いことも、感じ、経験したことが積み重なり、その者の人生になっていく。人生楽ありゃ苦もあるさ、と言うであろ?」
悠「はは、そうっすね」
見た目としてはおれより随分若いのに、話す内容は老練な雰囲気をまとっている。この年で人生語ったりすると、下手すりゃ失笑ものなのにそんな感じがまるでしない。それだけいろんな経験を積んできたってことなんだろうな。まぁ、実際学園内でも副将軍っていうとんでもない地位にいるわけだし。そこまで考えて、ふと浮かんできた疑問を口にしてみる。
悠「あの、ちょっと変なことを聞いていいですか?」
光姫「ん?なんじゃ?」
悠「光姫さんって、副将軍っていうすごい地位にいるわけじゃないですか。こうして気軽に出歩いてていいんすか?」
光姫「かっかっか、なんじゃそんなことか。悠よ、周りを見てみい」
悠「?」
光姫さんに言われるまま、店の周りを眺める。放課後、まだ時間も早いこともあってたくさんの生徒たちが通りを行き交わっていた。
光姫「店先の縁台に座って、こうして茶を飲んでいたところで、誰もわしらのことを気にしてはおらんだろう?つまりはそういうことじゃ」
確かに、光姫さんのいうとおり、誰もこちらを気にする様子なんてなかった。まあ、考えてみればこんなところで副将軍の水都光姫様がお茶を飲んでるなんて誰も思わないよな。
光姫「人間は見たいものしか見ないからの。意識せんと目の前にあるものすら気づかない。黙っておればわからんもんさ、のうハチ」
由佳里「はい!毎日とっても平和ですよ!」
悠「そういうものなんですかねぇ」
光姫さんたちがいうなら実際そうなんだろうな。光姫さんが副将軍ってことを知ってしまってるから、おれのほうが変に意識しちゃってるのかも。