ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

雷閃の一撃を避けたのだが勢いがつき過ぎて一回転してバランスを崩しかけるが両手で地面をぶっ叩いて停止する。

そこに雲山が蹴りで追撃を仕掛けたが今一度大きく地面を叩いて身体を跳ね上げながら避けた。

雲山「フンッ」

しかし、その隙を逃さず雲山は雷閃で仕掛けサーパインの身体を刎ね抜けていく。

ジェリー『さッッ!?サヤカSUNこれは!!?』

鞘香『よ、避けています!!!あのサーパイン選手が攻撃を避けているッッッ!!!あらゆる攻撃を真っ正面から跳ね返してきた超人が今ッッッ!!敵の攻撃から必死に逃れようとしている!!』

今までより一段深く前傾姿勢になりサーパインへと飛びこんでいく雲山……だが、その目に映ったのはこれでもかというほど頭を振り上げた男の攻撃の瞬間だった。

ギュンッと風を着る音、そして真下へと落ちるサーパインの頭。爆音とともに地面がくだけ着弾地点から無数の大きな亀裂が走る。

雲山「……」

紙一重で踏みとどまり後ろへ飛びさがった雲山。

鞘香『でッッ出たァアアア!!!【ビルマの鉄槌】だァアアアアッッ!!!結果は空振りとはいえ威力はご覧の通り!!!頭突きを喰らえば昏倒は確実ですッッ!!!』

ジェリー『AMAZING!!』

サーパイン「ハアァァぁ!!」

雲山「……」

強い。

危なかった…攻撃を当てることに固執し、踏みこみが深くなっていた。これを狙ってやがったのか。

ゴールドプレジャーグループの倉吉理乃もふぅと息を吐いた。

理乃「(強かな子ね。)」

雲山が、より深く踏みこんでくることを見越して、カウンターの頭突き。あと少し深ければ直撃だったわね。

寅「……」

駆け引きを使えるようになったか……戦士として一段成長したみてぇだな。

サーパイン「シャアアアッ!アレを避けられるのか!!!!スゲェなお前ッッッ!!!」

雲山「……言われるまでもない。俺は、超凄いんだ。」

寅がサーパイン有利とした理由は、雲山の戦法にある。

雲山が使う【百目鬼流】の技術の多くは、「暗殺」を主眼に置いている。すなわち、「得物」を使用し、必要最低限の攻撃で敵を仕留めることを前提としている。

「最小の手数を最速で当てる」武器有りの闘いならば、既に勝敗は決していただろう。

だが……闘技仕合では、今だ勝敗決さず。

立見席から仕合を眺めている【強魔】魏絵利央はその心理を見抜いていた。

絵利央「暗殺術のジレンマじゃの。」

「殺す術」に拘る余り、「倒す術」を軽視しがちじゃ。因幡流の若造もよくやっておった。

さて……【百目鬼流】の若き当主は、どんなもんかのう?