ｰ絶命闘技会ドーム:闘技場ｰ

サーパイン「肉を切らせてブッ潰すぜぇ!!」

身体を丸めるような前傾姿勢で腕を縦た前面のガードにおもきを置いた構えでサーパインは雲山に向かい走る。

雲山「…フンッ」

威風堂々とした猛進に対して雲山の動きは静かにそして高速、今しがた姿があった位置から消えると側面へと回りこんでいる。

サーパイン「(左っ)!!」

既に間合いは詰められているストレートが左わき腹に突き刺さるがサーパインはそれを受けた。対して左肘を振りぬいて雲山の顔面を斫(は)つろうとしたが紙一重で避けられてしまう。

一回戦で雲山と対戦した【夢の国から来た男】根津マサミは固唾を飲んだ。自分を降した雲山にではなくサーパインにだ。

初撃は敢えて「打たせ」て、カウンター狙い!!

根津「清々しいほど「男らしい」戦法だべ!」

肉を切らせてぶっ潰す。文字通りのことをやろうとしているサーパインを静かに見つめる右京山寅。

寅「……」

それだけじゃあねぇ。身体を丸めることで前面の露出部位を減らし、敵の攻撃方向を限定させている。

もっとも狙われやすいのは、脊椎が無防備の背部。だが……サーパイン(奴)の背骨は、急所じゃねぇ。生半可な攻撃じゃあ、ひびすら入んねぇぜ。

サーパイン「もっと来いやああぁぁぁっ!」

挑発というなのか本気でそういうつもりなのかサーパインは叫びつづける。雲仙は叫びはしないが当然止まりもしない。雷閃で突き抜けながらサーパインの肉体を打つ。するとサーパインが打ち返す、が避けられる。また雲山の雷閃がサーパインを刎ねる、構わずにサーパンも仕掛けるが避けられる。

必死に喰らいついていくもののサーパインは雲山を捉えられず、四方八方からの打撃を浴びせ続けられる。

何度目も雷閃を受けるうちに軌道が読めたのかサーパインは完全に雲山を捉えた。しかし、それは逆を言えば真っ正面から攻撃を受け止めるということでもある。雷閃のスピードが乗った拳がサーパインの顔面を殴りつけた。

轟音と共にサーパインの身体が反り上がるもギンッと鋭い目は雲山から外れない。袈裟切りに拳が振り落とされるが雲山は即座に離れ飛ぶ。

ハッハッハッハァッと荒い息をこぼしながら構えを取り直すサーパイン。

雲山「フッ…フッ…フッ…」

……そりゃ堪えるだろう。お前の戦法は、明らかに連戦向きじゃない。……なのになんで、お前は倒れないんだ。

僅かではあるが雲山の呼吸も乱れが見えてきている。

サーパイン「ハッハッハッ。……!」

雲山の身体が僅かに下がるのを捉えた。

来る!!

想定通り雲山の姿が消えた。だが、雷閃の軌道は直進である。目の前に来た瞬間、横薙ぎに拳を振るうが雲山はそれを避けた。そして返し手にサ顔面へ拳を打った……のだが、サーパインは上半身を捻り雲山の拳を「避けた」のだ。

これには右京山寅、そして鎧塚実光は驚きの表情となる。

実光「(なんと!!!)」

サーパイン「(サーパインが避けた!?)」