ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

サーパインの紹介を終えて今度は百目鬼雲山の紹介に移った。

鞘香『一方、対戦相手の百目鬼雲山ですが、未だにその実力は未知数。』

ジェリー『Yes。ワタシ、百目鬼流についてRESEARCHシマシタ。百目鬼流の始祖は日本のGODofWAR。武御雷(たけみかづち)といわれてマース。百目鬼流をMASTERした者は、鬼神の如き力を得ると言われてイマース。確かに百目鬼選手のSPEEDは雷の鬼、雷神の如く驚異の一言デース。その技術、戦法はどの文献にもNOTHINGデシタ。』

鞘香『なるほどなるほど!片やミャンマー発の徒手格闘。片や謎だらけの暗殺拳。交わるはずのなかった両者が今、交錯するッ!!表格闘技では決して観られない対戦だッッ!!!』

レフリーのアンナ・パウラが両雄の間に立って叫んだ。

アンナ「構えてッ!!すぅっ……始っ!!」

開始宣言と同時に雲山の姿が消え、パァンッという何かが破裂したような音が聞こえサーパインの上半身が後ろに傾きながら血を吐きだした。そして、遥か後ろに雲山の姿が現れたと思ったら滑りながら180度ターンすると再び姿が消える。

懐に潜りこみかけたが雲山の目の前に黒い塊が現れた。

サーパイン「シャアアアッ!」

叫び声をあげハイキックでカウンターを仕掛けた。しかし、雲山は即座に膝を折りながら身体を大きく後ろに倒しながら滑りこんでそれを避けた。

雲山「……」

やっぱりな……手応えが違った。コイツは、はじめから「受けるつもり」だ。

サーパインは滑り避けた雲山の頭目掛け蹴り伸ばした足を踏み下ろすも滑り抜けながら前転で完全に避けきった。

サーパイン「シャアアアッ!!」

叫びながら振り返り雲山へと突貫していくサーパイン。

雲山「……」

向かい来るサーパイン。しかし、雲山は先ほどまでの動きとは真逆、ゆらりとした動きで円状に歩み出した。

サーパイン「!!?」

最初こそぬるりとした動きだったがサーパインを中心に囲いこんだ。

【百目鬼流:夢幻歩法】

百目鬼流第65代当主:百目鬼雲静が考案した歩法。緩急をつけた不規則な動きから百目鬼流の最速技【雷閃】へと繋げる。

雲山「……」

動と静の動きを合わせた歩法の中心に囚われたサーパインは一瞬辺りを見回し突破口がないかと確認したが、隙が無いと認識すると腰を落とし地面を踏みしめガードの体勢を取ると叫んだ。

サーパイン「来いやアアアアアアッッ!!」

バヂッ!雷光が走ったかのような音が鳴ると同時、サーパインの真後ろ背骨の中心を穿つように【雷閃】が着弾する。

一瞬、エビ反りになったサーパインだったが、その攻撃を受けても即座に反撃に腕を振るってきた。

雲山は身を屈めて振りぬきを躱して後ろに下がり飛ぶ。

雲山「ふんっ。」

一連の攻防を見ていた右京山寅がある事に気がついた。

寅「!?」

今の動きは…………そうか、そういうことか。……気付くかサーパイン?この勝負、どうやらテメェに分がありそうだぜ。
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