ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

天狗党騒動が解決し、全校集会も無事に終了。学園は再び日常を取り戻す。もちろんわが小鳥遊堂も。

悠「おいおい、吉音。その箱はなんだ?」

開店準備をしていると、吉音の奴が妙な箱を持ってやってきた。

吉音「これはね、目安箱!」

悠「目安箱~?何だそれ?ポストか何かか?」

吉音「ポストか……似てるけど違う。お手紙は入れてもらうんだけどね」

悠「何の手紙だよ。あ、銀シャリ号で郵便配達でも始めるつもりか?」

吉音「ちがうよ~。目安箱はね、困ったことを書いて入れてもらうんだ」

悠「町の投書箱みたいなもんか。それで、入れてもらってどうするんだよ?」

吉音「もっちろん、あたしが解決します!」

悠「それは、ごくろうさま」

吉音「えへへへ♪」

悠「よし、おれも早速投書させてもらうよ」

吉音「え?なになに、悠、困り事あるの?」

悠「余計なものを店の前に置くな」

吉音「ええーーっ!」

悠「なんでそういういかにもトラブルを呼び込みそうなものをうちの店に置くんだよ。」

吉音「だって。うちの長屋よりも小鳥遊堂のほうが人通りが多いし、たくさん入るかなと思って…。お願い、お願い、ここに置かせて下さい!ご迷惑はおかけしません!」

悠「何て信用がならない約束だ…」

吉音「あとね、悠と一緒にやりたいの。悠と一緒ならもっといろんな面白いことが起こりそうなの!」

悠「(こいつ、今まるでおれが面白いことを吸い寄せてるみたいないいかたしなかったか?)っか、その面白いことをトラブルっていうんだけど?」

吉音「だめかな、だめかな?」

悠「……」

吉音「しゅーん……」

悠「営業妨害だけは……するなよ?」

吉音「悠っ!」

悠「こ、こら!こ、こんなところで抱きつくな!」

吉音「え~?なんでなんで~?」

悠「アホ!!アバラ骨にヒビいってんだよ!痛い痛い!」

吉音「あ!ご、ごめんね?このくらいならいい?」

悠「そうだな。優しく柔らかいものが触れるくらいで…」

はな「店先でなにやってやがるですか?邪魔なんでどきやがってくださいです♪」

悠「うおっ!はなちゃん」

吉音「あ、はなちゃーん。見てみてこれ目安箱」

はな「目安箱ですか?」

悠「なんか困ったこと投書したら吉音……新が解決しするらしい」

吉音「えへへ」

はな「……ここに置いといて大丈夫ですか?」

吉音「え?人通り多いし、たくさん入るんじゃない?」

はな「トラブル掃除機の悠さんがいる店にトラブルを募集する目安箱なんか置いたら池袋だけでなく新宿から最後には世界を股にかけたトラブルシューターになってしまいますですよ?」

悠「それいいすぎ!」

吉音「あははは。」



空は晴れ。何かが起こる予感を乗せて、大江戸学園に柔らかな風が吹く……。
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