ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【6】

ー絶命闘技会ドーム:闘技場ー

司会解説席にラウンドアニマルガールの歩がこそと近づいて何かを鞘香に手渡した。

鞘香『おっ?えっ!!じょ、情報が入りました!!ガンダイ、闘技者変更権を行使!!!関林ジュン選手に変わってマーヴェラス・セキ選手が代表闘技者となります!!!』

凍夜「おいおいおい。まだパフォーマンスタイムが続くの?」

観客席では【土俵の喧嘩屋】鬼王山尊が不機嫌に睨んでいた。

尊「アホかよ、あのおっさん…」

貴重な権利を「プロレス」に使いやがった!!

小鳥遊グループ社長の小鳥遊兜馬に秘書のミッシェルが尋ねた。

ミッシェル「これ、有りなんですか?」

兜馬「「有り」というか「演出」だろうな。」

ゴールドプレジャーグループ専室では【魎皇鬼】百目鬼雲山と代表の倉吉理乃は何故かソファーに掛けずに手を繋いでモニターを眺めている。

雲山「実際は闘技者が入れ替わってない以上、リザーバー権は残されたままと考える方が自然だ。」

理乃「ええ。きっと片原会長が演出してあげたのね♪プロレスあの方好きだから」

闘技場では一通りの演出が終わるのを確認し、凍夜は頭からかぶっている黒いローブを脱ぎ棄てた。観客たちも目つぶしを受けた男の目がどうなっているのかと当然気になっていたのだが何と包帯を両目に巻いている。つまり、始めっから視覚を捨ててこの場に立っているのだ。

セキ「オイコラ金貸し。テメェは魔界の流儀で叩きのめしてやるぜ。」

凍夜「はははっ!わかった。わかったよ。そろそろ勘弁してくれ。……実を言うと俺もプロレスは嫌いじゃないんだ。だけど……ねぇ?こういう場所には不向きだと思うけどね。」

鞘香『レフリーは引き続き田城もさし!厳格なレフェリングに定評があります。』

田城「両者……構えてッ!!…………始めェッ!!」

開始宣言と同時に凍夜は一気に踏み込んで間合いを詰めセキの目を打った。開幕と同時のまさかの目つぶし攻撃……。

だが、その一撃はわずかにずれ目の下のあたりに着弾していた。

セキ「目突きなんて客が引いちまうだろ。ド素人が。」

凍夜「!!?」

そういうと、セキは両腕を振り上げ首と肩の間に振り降ろした。

鞘香『モンゴリアンチョップが炸裂ゥゥゥゥーーーー!!!』

ガードが間に合わずチョップの直撃に上半身が前倒れになる。さらそこからセキの連撃が開始される。

パンチ!逆水平!パンチ!!逆水平!!

鞘香『パンチ、チョップ!!!パンチ、チョップ!!!パンチ、チョップッ!!!パンチ、チョップッッ!!!猛攻が止まらないッッ!!!!』

セキ「YEAHッッッ!!!TENRYU(※)ばりのグーパンチデース!!」

※:天龍源一郎

腕力だけで奮う、力任せの打撃。格闘家の「突き」とは似て非なるもの。見た目ほど威力はない。

だが……「重さ」は格闘家のそれ以上ッッ!!重心ごと弾かれる!それ故、かわし難い!!

プロレスラーの打撃は、力士の突っ張りと同じく「プッシュパンチ」に近い。凍夜の体格では踏ん張るのも難しい。
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